故郷を離れ上京した森氏はどのようにして漫画界で確固とした地位を築いたのだろうか?これに対し、森氏は、「『孫子の兵法』を理解していたので、兵法を使って事業を確立した」と語っている。森氏が描いた「孫子の兵法」は、中国の兵法を漫画のスタイルを用いながらリアルに描き出している。この作品は、森氏の45冊目の漫画作品にあたり、日本で広く称賛された。
日本で出版されている漫画「風林火山」のタイトルは、「孫子の兵法」の中の「疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如し」を部分的に引用したものだ。中国で人気の3DCG武侠アニメ「秦時明月」の中の衛庄の4人の部下のモデルがこの「風林火山」だ。日本では、戦国時代随一の兵法家と言われた武田信玄が「風林火山」を軍旗に使っており、そのため甲府市では「風林火山」の漫画が非常に流行ったという。
任天堂はこの「孫子の兵法」ブームの商機を逃さず、「孫子の兵法」を題材にした学習ソフトをニンテンドーDSから発売した。同ゲームソフトは「孫子の兵法」をビジネスに生かすために開発されたもので、全13篇256ページの書き下ろし文並びに現代語訳をナレーション付きで学べる。同ソフトは、現代の職場や経営戦略のさまざまな事例を用いながら、「孫子の兵法」の視点から解説を加え、さらに勝利を手に入れるための案を打ち出している。ゲームをしながら、クイズ形式の問題を解いていくと、ビジネスにおける戦略能力の判定ができる。ユーザーはそれを参考にして、必要に応じて実際のシーンで活用していけば、「彼(かれ)を知り己(おのれ)を知れば百戦して殆(あや)うからず」。
日本の著名な評論家・作家の麻生晴一郎氏は、「中国の孫子文化はすでに日本文化の一部となっており、現在、5、60歳の日本人ならほとんどの人が『孫子の兵法』を知っている。若者や子供は、あえて自ら孫子を学ぶことはないが、漫画やゲームを通して楽しみながらその神髄を学んでいる。日本人は孫権を孫子の子孫だと見ており、そのため『三国志』のことも非常に好きだ。『三国志』のゲームは日本でも高い人気を博している」と説明した。(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年4月10日