欧州鉄道産業連盟(UNIFE)によると、高速鉄道を中心とする鉄道市場は今後5年で飛躍的に成長し、世界市場の規模は年間2000億ドルに達し、高速鉄道など軌道交通の建設能力を備えた国や企業に大きなビジネスチャンスをもたらす見通しだ。日本の安倍政権はこれに対し、鉄道と関連設備の海外進出を「経済成長戦略」の重要な柱と位置付け、鉄道建設プロジェクトや関連設備の輸出を通じて経済成長の促進をはかっている。経済参考報が伝えた。
日本はこのため、積極的な「トップセールス」を展開している。安倍晋三首相は「チーフセールスマン」さながらの役割で、海外訪問や他国首脳来日の際にはきまって、日本の高速鉄道などの鉄道事業を売り込むのを忘れず、必要なら資金援助もすると明言している。国土交通大臣も関係諸国に足を運び、新幹線などの鉄道技術と関連設備を売り込んでいる。官民一体の「海外交通・都市開発事業支援機構」も設立され、新幹線の海外宣伝や各種情報の収集・分析、関連企業間の関係協調がはかられている。昨年4月には、日本の4大鉄道会社によって「国際高速鉄道協会」が共同設立され、日本の高速鉄道の技術と設備の輸出を共同促進することが決定された。
日本はすでに、世界の鉄道インフラ市場でまずまずの成果を上げている。日本が台湾地区に輸出した時速300kmの高速鉄道は2007年に開通し、良好な運行状況を続け、台北と高雄をつなぐ高速で快適な南北の交通大動脈となっている。
日立は、ロンドン高速鉄道の車両1兆円分の受注を獲得した。最初の高速鉄道車両は今年1月、神戸港から船に積まれてロンドンに運ばれた。今年の春から夏にかけて試運転開始となる。米ニューヨークの巨大な地下鉄網で最も多く使われている車両も日本製で、川崎重工の生産した車両はすでに2000台を超えている。川崎は米国の2カ所の鉄道車両工場をフル稼働しており、今後は生産ラインを増やして供給を確保する計画だ。また三菱重工などによる企業連合は昨年8月、ブラジル・サンパウロの鉄道システムの建設プロジェクトの受注を獲得し、今年2月20日にはカタールの首都ドーハの地下鉄約4000億円の注文を獲得した。この数日後、日立はさらに、イタリアの防衛・航空大手「フィンメッカニカ」が保持していた鉄道車両・信号業務部門の買収を発表した。日立は、買収の成功は日本企業の国際市場での影響力と競争力を強化し、世界の鉄道市場の競争への全面参加を有利にするものだとしている。