ネットショップでは、さまざまな商品がとびきり安い値段で売られている。このため、靴下やスカーフはまるで使い捨てのように消費され、小型家電は壊れるとすぐに捨てられ、「消費透支(支出が収入を上回る赤字状態の人)」「月光族(月給を1カ月で全て使い切ってしまう人)」は、今では珍しい現象ではなくなった。売る側も、手を変え品を変え、「より多く、よりスピーディで、より過剰な消費」の方向に人々を駆り立てている。過去に先進国で見られた生活を取り巻く状況が、中国でも当たり前のことになった。 ある人は、インターネットの普及が「消費主義時代」の到来を後押しした、と指摘している。消費の目的は、実際の需要を満たすことだけではなくなった。1つの物に対する要求が満たされると、さらに「もっともっと」と求める心や欲求が生まれるようになった。このようにして、「物に対する過剰な欲望」が社会共通の心理状態となった。
■消費したのは「お金」にとどまらない過剰包装は環境を「破壊」し、過剰ネットショッピングは生活を「破壊」
ネットショッピングによる消費は、大量に発生する包装袋の回収・再利用問題をもたらした上、「過剰包装」という現象を生んだ。北京の某民間企業で働く李悦さんは、オンラインで頻繁に買い物するという。彼女がネットショッピングで買う品物のほとんどが、まず包装紙で綺麗に包まれ、さらに箱に入れられた状態で配達される。箱の中には、配達時の振動による商品の破損を防止する目的で、気泡緩衝材(プチプチ)が詰められ、さらに箱の外側は、防水用の分厚いゴム製シートで包まれている時もある。「適切に処理しなければ、これらの包装材は全て無駄に破棄され、さらには環境汚染につながる恐れがある」と彼女は指摘した。 李さんは、「以前、某ウェブサイトが、『紙箱を返してポイントを貯めよう』というキャンペーンを打ち出したが、限定期間にほんの一握りの商店が実施して終わってしまった。このような方法こそ、大々的に推し進めるべきだ。結局のところ、環境保護は、一人一人の責任なのだから。紙箱などの包装材をリサイクルする方法を長く続けていくためには、管理部門、物流部門、Eコマース企業、消費者が一体となって取り組まなければならない」と訴えた。
ネットショッピングは、多くのお金だけではなく、膨大な時間とエネルギーをも消費する。ネットショッピングの普及に伴い、周囲の友人たちとの交流が減ると同時に、本来ならばより健全な他の趣味や活動が、すっかり鳴りを潜めるようになった。ネットショッピングをめぐり喧嘩になった夫婦、勤務時間中にネットショッピングをしていることがばれて首になったサラリーマン、徹夜でネットショッピングにふけっていて体調を崩した人など、現実生活のなかに、その実例は数多く見受けられる。