訪米中の安倍首相をめぐっては、慰安婦問題に対する姿勢が注目の的になっていたものの、その姿勢に実質的な変化はない。安倍首相は米ボストン郊外のハーバード大で学生と意見交換した際、慰安婦問題に言及し「胸が痛む」と述べたうえで、河野洋平官房長官談話を継承する考えを重ねて示し、それを訂正する考えはないとした。また、謝罪の言葉はなかった。
安倍首相は26日から、ボストンやワシントン、サンフランシスコ、ロサンゼルスなどを訪問している。同4地域の複数の民間団体が安倍首相の訪米期間中に抗議デモを実施する意向を示している。
米下院議員25人は今月23日、安倍首相の訪米を機に、日韓間の歴史認識問題に対処するよう求める連名書簡を、佐々江賢一郎駐米大使に送り、隣国との和解を実現するための基礎を築くよう求めた。
中国系組織・ワシントンアジア太平洋第2次世界大戦大災禍記念会の陳壮飛会長は28日、取材に対して、「安倍首相は今回、米議会上下両院合同会議での演説に招かれているが、米国政界が安倍首相を完全に認めたというわけではない。実際には、この書簡は安倍首相に圧力をかけるためのもの」とし、書簡に非常に重要な意義があるとの見方を示した。
陳会長はまた、「日本政府は、第二次世界大戦中の罪に対する謝罪を行わなければならない。我々は復讐したいわけでも、賠償を求めているわけでもなく、平和に向かって歩きたいだけ」と話した。
米国の反戦団体のメンバーも、「安倍首相は、『言葉遊び』をやめ、日本政府は第二次世界大戦中の罪の責任を負わなければならない。歴史を忘れてしまえば、また歴史が繰り返される。日本は戦争に向かってはならない」と訴えた。
同メンバーの演説を聞いた韓国の元軍人・李炳熹さん(85)は、「戦争で経験したことを今でも鮮明に覚えている。戦争は残酷。もう戦争は見たくない」と語った。
安倍首相に対する抗議活動は29日も、国議会議事堂前で行われる計画で、数百人が参加する予定だ。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年4月29日