朝日新聞社の木村伊量社長は11日夜、東京にある同社本社で記者会見を開き、「2011年の東日本大震災の影響で起きた東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)の放射能漏れ事故について、弊社が今年5月に報道した福島第一原発の吉田昌郎元所長の証言をめぐる記事に誤りがあることを認め、この記事を取り消す」と語った。環球時報が報じた。
5月20日付の朝日新聞朝刊に、吉田元所長の証言をまとめた「吉田調書」をめぐり、「福島第一原発の社員の90%が、吉田元所長からの待機命令に背き、約10キロメートル離れた福島第二原発に撤退した」と報じる記事が掲載された。木村社長は11日、「吉田調書を読み解く過程で評価を誤り、読者の信用を著しく損なう結果となった」と語った。さらに、「報道部門の最高責任者である杉浦信行・取締役編集担当を解任し、関係者を厳正に処罰する」として、自身の進退については、「社内の抜本改革など再生に向けおおよその道筋をつけた上で、速やかに進退について決断したい」と引責辞任をほのめかした。
朝日新聞の報道が問題となったのは、原発問題の「吉田調書」だけではない。木村社長は11日、今年8月5日付の同紙朝刊に、「1991年に同紙朝刊社会面(大阪本社版)に掲載した慰安婦問題に関する記事を取り消す」との文書を掲載したことについて、「誤った記事を掲載したこと、そしてその訂正が遅きに失したことをお詫びする」と述べた。