中国財政部(財務省)が支援し、中国科学院理化技術研究所が担当する国家重大科学研究設備「大型極低温冷却設備」の開発プロジェクトが、4月29日に審査に合格した。これは中国が液体水素温度の冷却設備の開発・製造能力で、海外技術の独占を打破したことを意味する。人民日報が伝えた。
大型極低温冷却設備とは、冷却温度が20K(−253度)以下、冷却能力が数百W〜数万W以上の極低温冷却システムを指し、精密加工技術・ヘリウムガスベアリング式膨張タービン技術、低温熱伝導・断熱技術、高効率かつ安全な統合制御技術などが用いられている。
中国科学院の研究者は数十年にわたる極低温技術の蓄積を踏まえた上で、冷却能力が10kW/20K、ヘリウムガス膨張タービンの断熱効率が70%以上の大型極低温冷却設備を独自に開発した。中国科学院理化技術研究所の胡忠軍副研究員は、「冷却設備を人の体に例えるならば、熱交換器は皮膚、膨張タービンは心臓、ヘリウムガスは血液のようなもの。圧縮後のヘリウムガスは膨張タービンを通過する際に冷却され、液体水素の温度に達する」と説明した。
李青研究員は、「新設備は高速ヘリウムガスベアリング式膨張タービンの安定性技術、低リークレート低温熱交換器の設計・製造技術などの重要技術で革新を実現し、独自の知的財産権を持つコア技術を形成した。その総合的な性能は世界先進水準に達しており、中国の液体水素温度の1万W級極低温設備の研究開発の穴を埋め、未来の大科学プロジェクト、宇宙プロジェクトなどの国家戦略のハイテク発展の需要を満たした」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年5月4日