日本がアジア経済のために「一肌脱ぐ」のなら、市場はこれを歓迎する。だが日本が矛先を中国に向けるなら、AIIB設立の主旨を曲解していることは間違いない。中国はAIIBへの出資比率が40%を超えるが、いわゆる否決権をもつ地位を望んでいるわけではない。それどころか、AIIB創設のそもそもの狙いは、一種の新しい国際金融システム・制度を創造することなどで、資金を借り入れる国々が金融方面以外のいかなる条件ものまずにすむようにしたいということだった。元対外経済貿易合作部(対外経済貿易協力省、商務部<商務省>の前身)副部長で、世界貿易機関(WTO)主席交渉官の竜永図氏は、「AIIBは国際社会の多国間システムの要求に応じて設立された開放的で民主的、清廉で高効率の国際金融機関であり、中国に属するものではなく、世界全体に属するものだ。その目的は世界のすべての国々と運命共同体を構築して、世界に繁栄をもたらすことだ」とまとめる。
陳所長は、「AIIBはアジアにふさわしいモデルで地域経済の発展を推進するものであり、既存のメカニズムを補完するだけでなく、一種のイノベーションだといえる。アジアにはアジア自身の特殊性があり、一方では大量のインフラを必要としながら、一方ではインフラ建設の水準が低いという問題を抱える。そこでこれまでの国際金融協力モデルで問題を解決しようとすれば効率が悪く、モデル自体も古いといえる」と分析する。
また陳所長は、「国際協力で最も難しいのは金融の分野だ。既存の世界銀行やアジア銀行などの多国間開発機関がアジア地域に振り向けることのできる資金には限りがあり、この地域を支援して発展のボトルネックを解消するだけの力はない。アジアの金融協力はすでに1つのピークに達しているが、日本やアジア銀行が関与すれば、協力の可能性が大きく広がることになる。またAIIBとアジア銀行が『両輪』となって走れば、アジアのインフラ建設が必要とする巨大な資金需要をまかなうのにプラスになり、巨額の資金の動きが民間資本を強く引きつけることにもなり、この地域の相互利益・ウィンウィンが実現することになる」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年5月25日