清華大学新聞・伝播学院の修士課程3年生の孟冬雪さんは、77歳の日本の老人が演台の前で、「中日両国は和すれば共に利し、戦えば共に傷つく関係である」とよく通る声で心を込めて語った光景を思い返すと、今でも心の中に感動が沸き上がってくるという。
この日本の老人とは、浅野勝人さんのことだ。浅野さんは政界を引退してから5年間、疲れを知らないかのように中日民間交流に身を投じてきた。最近、浅野さんは清華大学や北京外国語大学などの名門大学で講演会を開催し、会場はすべて満席の盛況ぶりだった。
孟さんは、「浅野さんは中日関係の発展過程で直面している障害について誠意をもって指摘し、中日間の意見の相違に関する敏感な問題についても我々学生と喜んで交流を図ろうとしている。私はこのような誠意ある態度は素晴らしいと思う」と語った。
浅野さんが中国を訪れたのは今回で50回目となるようだ。清華大学の講演会では、あえてスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩め、微笑みを浮かべながら会場の教師や学生たちに「リラックスしてください」と声をかけた。
「中日両国が友好と平和に向かっていくことは必然的な流れだ。ただ、その過程でさまざまな紆余曲折は避けられない」と語る浅野さんは、講演中は親しみやすい日本の老人として、学生たちに両国関係の楽観的な未来を感じさせた。しかし、同時に、「中日両国の緊張関係を緩和させ、両国の協力を深化させられるかどうかは、両国民全員の努力にかかっている」と指摘した。