夫の張全さん
多田さんの「胡同の魅力探し」に欠かせない存在が夫の張全(チャン・チュエン)さんだ。張さんはフリーカメラマンで、もちろん胡同で生まれ育った「胡同通」。「彼女は大の胡同好きで、胡同という共通の趣味を通じ意気投合し、次第に仲良くなった。当時彼女は前門の草廠(ツァオチャン)七条という狭い地元民でも知らないような胡同に住んでおり、それには本当に感動、いや驚きだった」と出合った当初を振り返る。胡同の名前を聞いただけで迷うことなくそこに辿り着くことができる張さんの胡同への精通ぶりも、多田さんが惚れた理由の一つだったようだ。張さんは「胡同は迷路のようなもの。胡同に入ると、中をどう進もうと必ず大通りに抜けることができる。中は入り組んでいて、変化が尽きないように思えるが、必ずどこからか抜け出ることができる。これが胡同の魅力。また、昔は遊ぶものがなかったので、胡同の中でトンボを捕まえたり、小鳥と遊んだりと、その情緒もまた胡同の魅力。今ではマンションに移り住んでしまい、胡同という空間から出てみて初めてそうした風情の素晴らしさや魅力に気づく人も多い」と張さんは語る。
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