首相は日本政府の代表であり、日本の過去の行為に関して「良い事は良い、悪い事は悪い」と十分に認識し、率直に認めなければならない。特に中国を含むアジア各国の人々にこれほど甚大な災禍をもたらした侵略と植民地支配については、しっかりと謝罪しなければならない。これを基礎に、歴史の覆轍を踏まないと誓うことこそが、近隣国との信頼関係を構築する道だ。(文:村山富市)
20年前に私は村山談話を発表し、中韓両国ともに理解を表明した。村山談話は歴史問題について結論を出したと言える。その後、歴代首相はいずれも村山談話の継承を表明した。第1次安倍政権も例外ではない。だが第2次安倍政権発足後、安倍首相は村山談話を継承するとする一方で、全てを継承することはないと公言した。歴史問題に対する安倍首相の本当の考えと意図を全世界が注視し、憂慮している。安倍首相は村山談話をしっかりと継承する必要がある。「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」といった言葉を使用しないのなら、安倍首相の発表する談話は意義を失う。
戦後日本は平和憲法を制定し、戦争を放棄し、平和外交に尽力してきた。だからこそ日本国民は掛替えの無い幸せな生活を送ることができた。だが安倍首相は憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認し、日本を再び戦争発動の危険にさらそうとしている。圧倒的多数の憲法学者が「違憲」と考える中、安倍首相はあろうことかこれを無視して、安保関連法案の国会での可決を強行しようとしている。その全ての行いに日本国民は強く反対している。現在日本国内では、安倍政権の誤ったやり方への断固たる反対が高まりを見せている。元々政治に無関心だった若者も現在の日本政治に対して不満を強め、若いお母さんでさえ子連れで安保法案反対活動に参加している。反対の声は今後もさらに高まる。
最近の世論調査では、安倍内閣は不支持率が支持率を上回っている。これは日本国民の意向の真の表れだ。日本国憲法は主権在民を定めている。日本政府の首脳である安倍首相にとって最も重要なのは国民の意向を尊重し、国民の期待をどう満たすかを真剣に考えることだ。権力を濫用し、民意を無視する安倍首相の行為に私は断固として反対する。私は安保法案の可決を命がけで阻止する。
中国は平和を愛し、覇権を求めないと言っている。今日中国が世界第2の経済大国となり、全世界の注目する大国となったのも、戦争のない平和な環境のおかげだ。中国はどの国にも増して平和の重要な意義を理解し、戦争を望まず、戦争を考えていないはずだ。今年9月3日、中国は中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年を盛大に記念する。健康さえ問題なければ、私は北京に行って記念行事に参加したいと思っている。
日中両国は言葉や生活環境が似ている。ある意味において、日本文化は中国との相互交流の中で誕生したとさえ言える。両国関係は切り離せない。経済的に日本の貿易は対中依存度を高め続け、科学技術では日本のほうは進んでいる部分もある。両国は互いに参考にし、長所を取り入れ短所を補い、交流を深めるべきだ。私は日本と中国の友好交流発展は必然的な趨勢だとかたく信じている。これは誰にも阻止できないことだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年8月12日