対外経済貿易大学の丁志傑学長補佐は、「国際収支のバランスシートに基づき、昨年下半期から今年上半期にかけて、中国の外貨準備資産は累計963億ドル減少しており、これは国際収支の実際の取引がもたらしたものだ。これ以外の2031億ドルの外貨準備高の減少分はレートや価格などの資産評価の要因と関連がある。つまり、外国為替市場が関与した900億ドルあまりの減少分は減少分全体の3分の1にも満たないということで、減少分の多くは資産の目減りによるものだということだ」と分析する。
また丁学長補佐は、「資産の目減りには主に2つの要因がある。1つ目は米ドルの値上がりで、米ドル以外の外貨準備資産を米ドルに換算すると資産価値が目減りする。2つ目は一連の資産の価格低下だ。資産の目減りによる外貨準備高の減少は十分に注意する必要がある。今後、外貨準備高の多様化により注意を払わなければならない」と話す。
▽9月は減少幅縮小 外貨準備高の増減は正常なこと
8月の939億ドル減少という歴史的な減少幅に比べれば、9月も外貨準備高は減少したが、減少幅は縮小した。
趙研究員は、「8月の外貨準備高の大幅減少の主な原因は、8月11日に人民銀が行った人民元の対米ドルレート基準値の価格決定メカニズムの改革に影響されて、多くの人が人民元の値下がりを懸念し、外貨が大幅に買われ、個人の外貨保有の意欲が強まり、企業も手持ちの外貨建て収入の決済や送金を減らしたことだ。だが9月になるとこうした要因は緩和された。8月末から9月初めにかけて、人民元のレートは再び安定に向かい、パニック心理や投機心理にかられての外貨購入の需要が減少し、市場の予測も安定したため、9月には減少幅が縮小した」との見方を示す。
外貨準備は増加する時もあれば、減少する時もあり、正確に理性的に対処することが大切だ。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年10月19日