同時に、商務部(商務省)がここ数年発表している日系企業の対中投資の金額と新規投資プロジェクトの件数を分析すると、主に次の3つの特徴があることがわかる。(1)昨年第3四半期(7-9月)に日系企業の投資額がさらに減少した。(2)08~15年のデータをみると、各四半期の投資額は10億ドル(約1171億円)前後。平均値をみると、14~15年の投資額に大幅な低下はみられず、これは11~13年の投資の伸びが相対的に過剰だったことを別の面から物語る。投資の激増を招いた原因は中国経済の発展の速さ、円レートの高さにあり、これが海外投資にプラスにはたらいた。(3)新規調印された投資プロジェクトをみると、15年第3四半期は前四半期に比べて大幅に増加しており、このため今後の投資額は増加傾向を示すことが予想される。
15年の計画として「投資を縮小する」、「移転する」、「撤退する」を挙げた企業の割合が増えたことの主な原因として、田端所長は企業の売上高の減少、人件費の上昇、発展の潜在力の低下を挙げる。
▽「新常態」の下の日系企業 事業構造の再編がぜひとも必要
調査結果を検証するため、ジェトロは中国の日系企業27社に対するアンケート調査も行った。それによると、多くの企業が中国経済の成長ペースの鈍化を実感していると答えたが、楽観的な態度を維持するとともに、中国市場に合わせて事業構造の調整を行う必要があるとの見方を示した企業が少なくなかった。
調査によると、中国の経済成長率はやや鈍化したに過ぎないとし、今後の動きに期待する企業があった。また中国経済は「新常態」に突入したが、経済成長率は引き続き高水準で、市場の潜在力も大きく、産業は高度化の方向へと発展しつつあり、個人消費にはまだ大幅な低下はみられず、消費は依然活発で、質の高い製品に対する中所得層の消費意欲は衰えていないとみる企業もあった。