試験管ベビー技術は、不妊に悩む多くの夫婦に福音をもたらした。しかしこの技術によって誕生した赤ちゃんのうち、男の子のほうが女の子よりも多いことが注目を集めている。中国の研究者はラットを使った実験により、この問題はX染色体不活性化の弱化によって生じる可能性があるとした。北京日報が伝えた。
中国農業大学の田見暉教授らは2011年、体外受精技術によって育てたラットにも、性別のバランスの乱れが生じることを発見した。さらなる研究により、体外受精の胚胎には、X染色体不活性化の不足という問題があることが分かった。研究者はこれが、性別のバランスの乱れの主因と推測した。
田教授は、「X染色体不活性化は、メスの胚胎の早期発育における遺伝子発現制御現象だ。このメカニズムが弱化すれば、メスの胚胎の発育が異常となり、性別のバランスが失われる」と説明した。
研究者は一連の研究により、X染色体不活性化は「Xist」「Rnf12」という2つの遺伝子と関係していることに気づいた。研究者はこれを踏まえた上で機能性補完実験を行い、体外受精したラットの出生時のオスの比率を57.17%から51.92%に調整し、正常な範囲に近づけた。
田教授は、「体外受精技術には、流産、低出生体重児、障害などのリスクが存在する。今回の研究結果は、これらの問題の分子メカニズムを明らかにし、予防を行うための重要な参考材料になった」と話した。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年3月23日