白氏によると、人民元レートは現在、ドルとユーロに対する依存度が高く、将来の値動きは、国の通貨政策の影響を受けるほか、ドルとユーロのレートの影響も受ける。日本は、通貨政策を利用して、中国などのドルの影響が大きい国にデフレを伝え、人民元などの通貨の資産収益を圧縮した。
「中金網」は、円安はドルの価値を高め、金利の安い円の資金がドル建ての株式資産に大挙して流入し、ドル資産の収益の上昇を刺激し、中米の金利差を利用してドルを売って人民元資産を買い入れる利ざや取引は持続不可能になったと分析する。投機に向かっていたホットマネーが大量に流れ出し、中国の中央銀行の外貨準備のストックが減少し始めている。
▽「国際化リスク」防止がカギに
日本の通貨政策がもたらす影響のほかにも、世界各国の通貨政策の調整も、大きな影響を及ぼしている。
南開大学日本研究院客員研究員の劉雲氏によると、現在の国際通貨体系においては、米日欧などの先進国の間での通貨政策は一致しておらず、国際通貨市場が非常に敏感になっており、投機的な心理と行為が明らかになっており、風が吹いて草が動いたような小さな動きでが市場の大きな投機行為につながりやすくなっている。劉氏は、こうした状況において、人民元オフショアレートも衝撃を免れ得ないと見ている。
劉氏はさらに踏み込んで、円レートの変動が人民元のオフショアとオンショアのレート間の金利差を拡大する状況の下で考慮すべきなのは、現在の人民元の国際化の過程において金融リスクをいかに回避するか、即ち国外の通貨政策の調整や失敗など国外の通貨政策の変更がもたらす衝撃をいかに避けるかということであり、現在の環境の下で人民元レート形成のメカニズムをいかに改革・規範化するかということだと語る。「このほかさらに注意すべきなのは、アジアでは、中国と日本、韓国、ASEAN諸国間で外貨スワップ協定が達成されているということだ。これとともに来るのがリスクの伝達である。メカニズムの中で、全体の経済環境と金融環境において、こうした潜在的なリスクをいかに避けるかを考えなければならない」