▽二国間の「代替案」
トランプ氏の言い方を借りれば、米国がTPPを離脱した場合の代替案は、「公平な二国間貿易協定を話し合いで追求する」ことであり、雇用と工業を米国に取り戻すことがねらいだ。
米国が離脱しようとしている今、TPPに足を踏み入れた他国は疑念にかられ、様子見の態度を取り、米国の今後の動きを見守る。日本の安部晋三首相などは、「米国抜きのTPPは意味がない」と発言した。
チョウ氏は、「トランプ氏が動画で述べたように、TPPは望みがなくなったが、同氏は引き続き他国との間でいわゆる公平な二国間貿易の取組に調印することを求めて努力を続けるとみられる。言い換えれば、トランプ氏は自由貿易にあくまでも反対なのではなく、より公平な自由貿易を望んでいるということだ。ビジネスマンとして、トランプ氏は自由貿易に徹底的に反対すれば、米国の国内経済に活性化効果をもたらすことは絶対にないだけでなく、グローバル化した市場から米国が閉め出されることになると知っているはずだ。これまでのTPPと全く異なる『トランプ版TPP』が登場する可能性も捨てきれない。名称や内容は大きく変わることになるが」と話す。
米国がTPPを離脱すれば、オバマ政権が推進してきた「アジア・太平洋のリバランス」戦略も大きな影響を被ることになる。メディアの中には、米国は今後、経済貿易の方面で引き続きアジア太平洋地域の牽引役を務める可能性を失うとの見方を示すところもある。チョウ氏は、「世界中が注目し、同盟国は米国との関係が揺らぐのではないかと懸念する。トランプ氏は『政治の素人』なので、こうした見方は当たり前だ。だが現在の様子からみる限り、トランプ氏の態度には大きな変化があった。相対的に実務的になり、秩序をもつようになり、状況の把握に努力するようになり、さらにはより実務的な態度で選挙戦での公約を実現して任務を果たそうとしている」と指摘する。
斉記者は、「トランプ氏の最近の動きには『実務的』な一面がみられる。言動を通じて公約を実現しようとし、自身の見方を伝えることで、組閣と今後の政策のための環境作りをしている。だが目下のトランプ氏の最重要課題はやはり人事であり、組閣を通じて政策を実現する人材と組織の枠組みを構築することが必要だ。さまざまな状況の中で、トランプ氏の政策や構想は詳細になり、具体的になっていくだろう。同氏の政策に対する外部の見方もまた詳細になり、具体的になっていくとみられる」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年11月24日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn