「旅行」に行けば、現地の名物料理を味わうというのが一番の楽しみ。料理にはまた、人々の思いや文化などが詰まっているものだ。中国語でコラムを書き、著作を出版している日本のジャーナリスト・新井一二三さん(本名:林 ひふみ)は、日本の家庭料理の背後にある「ドラマ」を「東京時味記」という「味のある本」にまとめた。この本は、「中国から日本へ伝わった食べ物には『唐』が付くのか?」、「日本で『餃子』が『GYOZA』と発音されるようになったのはなぜか?」などの興味深い質問に答えている。(文:徐敏旅。済南時報掲載)
新たな美しい世界へ連れて行ってくれる食べ物
おいしい物が好きな人ならば、必ず心から生活を愛し、真面目に生活を営んでいるといえる。新井さんも子供の頃からそのようなタイプだった。彼女は「東京時味記」の中で、「子供の頃は、透明人間になって、他の人の家に行ってどんなものを食べているのかを見てみたいというのが夢だった。1日3食何を食べているかだけでなく、各家庭の食習慣を通して、その家族の歴史や故郷の思い出などの『ドラマ』を、自分の目で見てみたかった」と書いている。
もちろん、透明人間になるという夢はかなわなかったものの、新井さんの「食」という生活スタイルに対する思いは高ぶるばかりだった。中学生の時、新井さんは作家・森村桂の影響を受けるようになった。森村桂は、エッセイの中で、ずっとほしかったオーブンをついに手に入れ、そのオーブンで焼いたバナナケーキがどれほどおいしかったかを書き綴っている。それを読み、新井さんは、「この作家にとって、バナナケーキは単なる食べ物ではなく、これまで知らなかった美しい世界に連れて行ってくれるもの」と感じた。その後、新井さんは海外に留学し、いつも日本の食べ物が恋しかったという。「単に食べ物が恋しかったのではなく、それにまつわる人や思い出が恋しかった。それはつまり『ドラマ』」と新井さん。
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