天津市の南開大学が28日に発表した情報によると、同校薬物化学・生物学国家重点実験室は研究チームを率い、サルの半数体神経幹細胞を使い、フグ毒の2つの標的遺伝子を解明した。また遺伝子ノックダウン試験により、神経細胞にフグ毒への薬剤耐性を持たせた。この研究はフグ毒中毒者に治療薬を提供できることになるとみられている。関連成果は最新の幹細胞・神経発育学術誌「Development」(電子版)に掲載された。科技日報が伝えた。
フグは美味だがフグ毒は猛毒で、間違って摂取するとたちまち死亡することになってしまう。その作用標的と毒のメカニズムについては、これまで知られていなかった。ある研究によると、フグ毒は神経毒であり、神経細胞内のナトリウム・カリウムイオン通路を妨げることで毒性を発揮するという。それならばサルの半数体神経幹細胞を使い、フグ毒の神経系への「作用点」を絞り込めばよいのではないだろうか。
チームはこの逆転の発想を基に、ここ数年で新たに興った半数体細胞ツール培養技術を利用し、初期状態多能性培養体制を通じ、サルの半数体胚幹細胞に半数体維持・体外分化過程におけるより高い細胞残存性を持たせた。さらに世界で初めて体外増殖能力を持つサルの半数体神経幹細胞を作り出した。科学研究者は実験中にこれを用い、ハイスループットの全ゲノムランダム突然変異を引き起こし、突然変異後の細胞を使い、フグ毒の実験を行った。最後に生物情報学分析及び遺伝子コード実験を通じ、フグ毒の重要標的遺伝子「B4GALT6」と「SCN5A」を特定した。遺伝学的に見ると、具体的に毒性を行使する機能遺伝子を直接発見したため、理論的にはこれらの標的遺伝子をノックダウンすれば、神経細胞はフグ毒への薬剤耐性を持つことができる。
情報によると、サルなどの霊長類の遺伝子は人類と非常に似通っている。そのため人類は標的遺伝子を見つけることができれば、遺伝子抑制剤を服用することで解毒作用を発揮できることになり、近い将来、フグ毒にあたった場合も、解毒剤が無いという現状が変わるかもしれない。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年5月29日
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