〇「親のすねかじり」の内的要因と外的要因
長く「親のすねかじり現象」について研究を続けてきた華東師範大学心理・認知科学学院の宋永寧・准教授は、「『親のすねかじり』は、主に、家庭教育と社会的環境による影響から誕生する」と指摘し、以下のように分析している。
(1)家庭教育
両親が子供を幼いころから溺愛し、子供の要求は必ず叶え、何の躊躇もなく自分の全てを子供に与えるため、子供は欲しいものを何でも簡単に手に入れることができ、あえて独立や苦労をしようとは思わなくなる。また、親に対する恩義や感謝の心も理解できないまま育つ。もし親の立場が強く、心理的に子供をコントロールしがちで、子供が独立するチャンスをほとんど与えないまま長い時間が経過すれば、子供の依存心は断とうとしても断てなくなってしまう。日常生活で自分の思うようにならないことに直面したとき、すぐさま両親に助けを求めがちになると、社会的な競争に適応できず、一度の打撃で二度と社会に出られなくなってしまう可能性もある。
研究によると、欧米諸国と比べ、中国では子供がより一層親のすねかじりになりやすく、子供と親との心理的な境界線があいまいになりがちという。米国の子供の多くは、自分と親とは別々の人格や思想、生活を持っており、互いに独立し、干渉するべきではないと認識している。一方、中国の子供のほとんどは、自分は親の一部であり、親も自分の一部で、マイホーム購入や生活全般はすべて、お互いに共通した事柄だと考えている。
(2)社会的環境
一部の若者にとっては「親のすねかじり」が仕方のない事だと考えているケースもある。高騰する住宅価格や物価のために、どうしても両親に助けを求めざるを得ないと考えているのだ。中国では、結婚するためには男性がマイホームを用意しなければならないというプレッシャーに直面している男性が多く、親からの資金援助はごく当たり前のこととなっている。各国の研究によると、生活コストが高い大都市であればあるほど、「親のすねかじり」が生まれる割合が高い。
また宋准教授は、「『親のすねかじり現象』は、個人の発展にとってマイナスであり、家庭に重い負担をもたらし、さらには社会全体の活力を奪い、長期的な発展にマイナス影響を与える。『親のすねかじり』の危害に対して日本のある学者が系統的な研究を行ったことがあるが、『親のすねかじり』は、親に頼ることで、生活の質は急激に落ち込み、日常生活で必要となる最低限な食物や衣類の購入以外に、消費活動は行わないため、経済発展の足かせとなる。また多くの『親のすねかじり』は結婚しないため、社会の『少子化』に追い打ちをかける。彼らが高齢になると、社会による高齢者負担がさらに増してしまう」としている。
そして、「『親のすねかじり』問題を解決するためには、社会と家庭の共同努力が欠かせない。家庭教育の点から言えば、親は子どもの手を放し、子供に鍛えるチャンスを与え、子供との間で境界線を取り決め、子供に対するとめどない『金銭の輸血』を断ち切るべきだ。子供が自主的に解決法を模索し、独立して責任を負うよう励まさなくてはならない」とアドバイスしている。(編集KM)
「人民網日本語版」2018年6月26日
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