中国の人民解放軍初のAIP(非大気依存推進)潜水艦部隊がこのほど、通常動力潜水艦遠洋航行の最長記録や潜水深度の新記録、国境条件下の実体標的船撃沈といった海軍における記録を樹立したという情報が、人々の注目を集めている。科技日報が伝えた。
軍事評論家の彰海雄氏は、「AIP潜水艦の長所は、水中の航続距離が大きく延びることで、1週間、さらには2−3週間に渡り浮上し充電する必要がない。これにより通常動力潜水艦のステルス性が高まり、より神出鬼没の働きをできるようになる」と話した。
通常動力潜水艦は一般的にディーゼルエンジンとモーターを使用し、水上を航行するかシュノーケルを使い航行する際にはディーゼルエンジンで動力を提供し、バッテリーに充電する。潜航中はモーターで前進する。そのためディーゼル・エレクトリック潜水艦とも呼ばれるが、ディーゼルエンジンの稼働には空気が欠かせない。そのため潜航中にバッテリーを使い果たすと水面に浮上するか、シュノーケルを使ってディーゼルエンジンを動かしバッテリーに充電する必要がある。そのため一般的な通常動力潜水艦の水中の航続時間は限定的で、10−100時間ほどとなっている。一定期間を過ぎると浮上し充電を行うため、ステルス性が低くなる。
AIPシステムを搭載すると、通常動力潜水艦は充電の際に空気中から酸素を得る必要がなく、水中で充電が可能だ。AIP潜水艦は航続時間が長くステルス性が高く、静音性に優れており、急襲に長けているため、世界の潜水艦発展の歴史における技術的進展と呼ばれている。彰氏は、「AIP潜水艦は原子力潜水艦に次ぐ水中の武器で、戦闘力が高いがコストも高く、中等海洋国と海洋強国の使用に適している。AIP潜水艦は未来の通常動力潜水艦の発展方向だ」と指摘した。
AIP潜水艦は航続能力が大幅に強化されたが、持続的な潜航の制限を打破していない。それでは世界各国はこれらの問題をめぐり、どのような技術進歩を成し遂げており、今後を展望しているのだろうか。
彰氏は、「AIP動力システムの原理に基づき、AIP潜水艦は浮上し空気を入れ替え、充電し燃料を補う問題を回避できない。そのため最良の解決策は原潜の使用だが、原潜は高額であり広域展開も困難だ。そのため多くの海洋国にとって、AIP潜水艦の配備はほぼ唯一の選択肢だ。この弱点を解消するため、各国も努力している。まずトン数を拡大し、より多くの燃料とバッテリーを搭載すると同時に、AIPシステムのエネルギー効率を高め航続距離を延ばしている。次により良い静音・ステルス技術を採用し、発見されにくくする。それから戦術的なテクニックを利用し、夜間もしくは自国が制海権をもつ海域で浮上することで、敵からの発見と襲撃を防ぐ。さらに、より先進的なAIP動力システムを開発する。広く見ると、燃料電池AIPシステムはより高い潜在力を秘めており、静音効果がより優れている。各国がこの研究に力を入れることで、未来のAIP潜水艦の動力の主流になるかもしれない」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年7月6日
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