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AI時代の外国語教育 その苦悩と模索(四)

人民網日本語版 2019年01月17日09:48

人民網ではこのほど、「AI時代の外国語教育 その苦悩と模索」をテーマとする小野寺健氏による連載をスタート。小野寺健氏は特定非営利活動法人日中友好市民倶楽部の理事長を務めるほか、長年にわたり数多くの中国の大学で日本に関する教育指導を行い、「淮安市5.1労働栄誉賞」や「第二回野村AWARD」、「中国日語教育特別感謝賞」などを受賞しているほか、人民日報海外版では「中日友好民間大使」として紹介されている。

 

第四章 外国語教育は、有為な人材を育成したのか?

唐家璇元国務委員や王毅現国務委員兼外交部長を始めとし、日本語教育界は多くの有為な人材を輩出してきた。なかでも法学部出身の筆者も舌を巻いたのが、程永華駐日大使と修剛前天津外国語大学学長のリーガルマインドとしなやかな思考姿勢だ。

程永華大使には、外交部亜州司副司長時代に話を伺った機会があり、修剛学長とは、日中友好中国大学生日本語科卒業コンクールや淮師範学院三年生の国内留学制度の創設等に於いて尽力いただいている。

そして、この様な有為な人材を輩出した日本語教育を、引き続き活性化させて、社会の期待に応えたいとの思いが、本連載執筆の強い動機でもあった。なお、筆者の教え子や友人の中にも、社会の中枢や中堅として活躍する前途有為な人材が、綺羅星の如くいるが、彼等は日本語教育黄金期の学生であるのに対して、現在は雨後の筍の如く増加した新設校を含む日本語教育の生き残りが、喫緊の課題として浮上している。

人格の形成に寄与するものとして、刑事政策においては、家庭教育と学校教育、地域社会教育が挙げられるが、彼らのような有為な人材を育んだのは、むしろ日本語教育よりは、ご本人の資質と与えられた仕事を通じて、人格と能力を高めたと考えられる。しかしこれを特異な事例とせずに、日本語教育を通じて行うことができれば、更に大きな成果を得られると考えている。

それには、個人の資質や環境を超えた教育体制と教育プログラムの作成が不可欠であり、修剛教授が主導する教育部高校外語専業教学指導委員会日語分委員会の取り組みに、大いに期待をしている。

夏目漱石は、「頑張って、頑張った先に何があるのかと」問われて、「滅ぶね」と答えているが、これは従来の「頑張り教育」の限界を示しており、日本語教育は学問の楽しさを共有する「オアシス」の如き場所でありたいと考えている。

小林一茶は、「けふからは 日本の雁ぞ 楽に寝よ」と詠んでいるように、晩秋になると、遥々海を越えて、北方から日本に渡って来る雁は、受験戦争を乗り越えて、羽を休めたい学生に通ずるところがある。日本語教育界という暖かな環境の中で、知性と優しさを蓄えて、世界の大空へと、大きく羽ばたいて欲しいものだ。

「人民網日本語版」2019年1月17日

第三章はこちら→

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