【第127回】経済補償金の計算に関する実務
経済補償金は、計算年数×離職前12カ月の平均賃金になります。
一 計算年数の計算について
2008年以後の計算年数の算出方法は、勤務年数が満1年ごとに1カ月とし、勤務年数が6カ月以上1年未満の場合、1年とみなします。6カ月に満たない場合は、半月として計算します。
しかし、労働契約法実施前(2008年1月1日以前)、計算年数の算出方法について、たとえ1日しか勤務していない場合であっても、1カ月として計算する必要があります。
従業員保護の視点から、計算年数に2008年以前の計算年数と2008年以降の計算年数を分けて計算する必要があるとの主張があります。
この主張に基づき、ごく極端な例をあげると、2007年12月31日に入社し、2008年1月1日に離職し、2日しか勤務していない従業員にも1.5カ月の計算年数(併せて計算する場合、0.5カ月の計算年数とされる)とする必要があります。
しかし、計算年数を併せて計算するのは、現在の通説であり、北京地域裁判所の審理傾向でもあります。
ただ、従業員が会社側の責任(賃金の支払遅延など)で一方的に労働契約を解除した場合、会社側の主観悪意の程度を考慮し、経済補償金の計算年数において、北京地域の仲裁機関と北京地域の裁判所との意見が異なります。
仲裁機関は、会社側の主観悪意の程度を考慮し、会社には重大な悪意がなければ、たとえば、故意で賃金の支払遅延を行っていない限り、一般的には、2008年以後の経済補償金の支払請求しか支持しません。2008年以前の勤務年数を考慮しません。
裁判所は、会社側の主観態度を問わずに、2008年以前及び2008年以後の計算年数を併せて計算し、2008年以前及び2008年以後の経済補償金の支払請求を支持します。
二 離職前12カ月の平均賃金について