「初雪が降れば、鶏のから揚げとビールを」---北から南に移動する強烈な寒気団の影響を受け、広い範囲で大雪が降った中国で、「鶏のから揚げとビール」が一夜にしてSNSの話題を独占した。これは、人気の韓国ドラマ「星から来たあなた」に登場したセリフだ。新華網が報じた。
韓国ドラマが中国に入って20年、ブームが下火になることは一度もなかった。ある専門家は、「中国文化市場は、内需は大きいが、現地の文化製品は供給が不十分な状況にある」と指摘した。
○韓国ドラマブーム再燃の引き金となった「星から来たあなた」
「星から来たあなた」は、まだ初回放送の途中だが、ここ数年にないほど人気が高まっている。15日の時点で、動画サイト「愛奇芸」での再生回数は累計3億7千万回に達した。サーチエンジン「百度」で「星から来たあなた」を検索すると、4820万件がヒットした。
北京第二外国語学院韓国語科の楊磊・准教授は、「星から来たあなた」が引き金となって中国に沸き起こった新たな韓国ドラマブームについて、「これまでの韓国ドラマと同様、美男美女が主役に起用されているほか、宇宙人、コメディー、ホラー、スリルなどのエッセンスがふんだんに盛り込まれている。大きな枠組みではラブロマンスの部類に入るが、荒唐無稽な出来事や意表を突くストーリー展開、不思議なファンタジーの世界が繰り広げられる」とコメントした。
多くの業界関係者は、韓国ドラマは、ドラマ自体の人気だけに留まらず、放送後に一種の文化現象となり、ホットな話題を生みだす泉となっていることに気づいている。プロデューサーの金瓯氏は、「『星から来たあなた』で中国に沸き起こったブームは、『中国の文化内需キャパシティは極めて大きく、その潜在力は限りない』という極めて楽観的な結論を導き出す基盤となっている」と指摘した。
○ドラマの追っかけから文化の追っかけへ
楊磊・准教授は、「韓国ドラマが中国に入って20年、ブームが下火になることは一度もなかった。20年経った今、中国現地の文化産業でも、韓国ドラマに対抗できる作品が数多く生まれたが、韓国ドラマは、中国人消費者の日常生活にも影響を及ぼし始めた。韓国ドラマや韓国スターの追っかけに始まり、消費や文化の追っかけ現象にまで拡大した」とコメントした。
ドラマで主役の男女が使っているモバイル端末向けチャットソフト「Line]は、中国の若者達の携帯画面にも急速に現れるようになった。業界関係者は、「韓国NHN社が運営するLineが中国に入って約14カ月、初めの1年間はユーザー数もそれほど増えなかったが、ドラマの大ヒットをきっかけに若者ユーザーが急増した。
時代の潮流に対して敏感な淘宝網では、出演者がドラマで身に付けている洋服、アクセサリー、インテリアなどのコピー製品が爆発的な売れ行きを見せている。出店している「ivw」さんは、「指輪が一番良く売れている」と話した。彼女は、「星から来たあなた」のブレイク後、メーカーと契約してヒロインがドラマでつけている指輪をカスタムメイドで生産してもらい、1カ月の受注量は782件に上ったという。
韓国ドラマは、関連グッズの販売・PRにとどまらず、中国への韓国文化の普及という役割も担っている。韓国慶煕大学語学院の金秀姫・客員教授は、「優れた映画・ドラマ作品の文化に対する推進作用を軽視すべきではない。『星から来たあなた』では、男性主人公が朝鮮王朝時代からやって来た設定になっている。歴史に関する深い知識を持ち、韓国語の起源や野史(在野の歴史書)を熟知していることも、視聴者の知的好奇心を大いに刺激した」と分析した。