機能面の設計においても、いずれも日常の需要を満たしており、ムダな機能はない。だが細心の注意が払われている。無印良品の炊飯器の上部には突起がデザインされ、しゃもじを置くことができる。電気ケトルの注ぎ口の形状は滑らかな曲線で、お湯を注ぎやすいよう、充分な配慮がされている。
家庭生活用品ブランドの家電分野への「進出」といえば、無印良品は初めてではない。スウェーデンの生活用品ブランド・イケアが先駆けて、自社ブランドのテレビ、オーディオシステムなど家電製品を発売した。もっともイケアの発売した家電製品は単独発売のためではなく、「UPPLEVA」シリーズのリビングルーム・ソリューションのひとつである。イケアが発表した情報によると、同社の調査の結果、消費者の75%はリビングに多くの配線が露出しているのを望んでいない。また外部電子製品の数が減ることを望む人は50%、調査家庭の60%に3つ以上のリモコンがあった。そのためイケアは「UPPLEVA」シリーズを提案した。インテリジェントテレビ、オーディオシステム、セット用家具が一体となり、これらの家電製品はイケアならではのシンプルでナチュラルなスタイルを引き継いでいる。操作性も簡素化され、リモコン1つでテレビ、オーディオの全機能を操作可能だ。
無印良品、イケアが新たな分野に「越境」し、家電製品を発売したことは、「家電市場がターゲット」「シェアにあずかる」などの議論が多かった。両社の体力は巨大家電企業にとって、「心配に及ばない」だろうと思えるが、両者が家電企業に全く衝撃を与えないというわけでもない。
無印良品、イケアのいずれも、現在専門店で販売される商品、私たちの家庭でいま使っている家電製品はどれも、明らかに「シンプルで飾り気がない」。見た目は決して派手ではないが、生活のニーズを充分満たしている。私たちが現在使っている家電製品の外観は、本当にそれほど豪華である必要があるのか、社会に問いかけたい。私たちが各機能のために費やしたお金に価値があるのか、問いかけたい。無印良品、イケアを問わず、両社の製品の多くはニーズから生まれ、ニーズに応じてデザインされる。欲のためのデザインではない。広告キャッチコピーが謳っている。「シンプルは簡単でない」。この点が、あるいは家電企業に啓発を与えるのかもしれない。(編集HT)
「人民網日本語版」2014年3月12日