(九)エコ文明の麗しい故郷づくりに努める
エコ文明建設は人民の生活と民族の未来にかかわる。スモッグの発生範囲が拡大するなど、環境汚染の問題が際立っているが、これは大自然が粗放型発展に対して点した赤信号である。生態環境保護を強化し、思い切って強力な措置を講じて、この重い任務を成し遂げなければならない。
汚染対策の強化にいっそう力を入れる。スモッグが頻繁に発生している大都市と地域を重点とし、微小粒子状物質(PM2.5)・吸入性粒子状物質(PM10)対策を突破口として、産業構造、エネルギー効率、排ガス、砂塵といった重要な部分をしっかりと押さえ、政府・企業・大衆が共同で参画する新たな仕組みを整え、地域間大気汚染共同対策を実行に移し、大気汚染対策行動計画を踏み込んで実施する。今年度は、小型石炭ボイラーを5万台廃棄し、石炭火力発電所の発電ユニット1500万キロワット分に脱硫装置を、1億3000万キロワット分に脱硝装置を、1億8000万キロワット分に集塵装置を取り付け、「黄標車」(排ガス基準をクリアしていないことを示す黄色いラベルが貼られている車)や旧型車を600万台廃棄し、新エネルギー自動車を普及させ、全国で国家第4段階基準に適合する自動車用軽油を供給する。また、「きれいな水」行動計画を実施し、飲用水水源の保護を強化し、重点流域の水質汚濁対策を進める。土壌復元プロジェクトを実施する。農業のノンポイント汚染対策を行い、美しい農村づくりに取り組む。われわれは貧困との闘いと同様に、汚染との闘いも断固として全力で繰り広げなければならない。
エネルギーの生産・消費方式の変革を推し進める。省エネ・排出削減にさらに力を入れ、エネルギー消費総量を抑制し、今年度は、GDP1単位当たりのエネルギー消費量を3.9%以上削減することとする。二酸化硫黄排出量と化学的酸素要求量(COD)はいずれも2%減少させることとする。また、非化石エネルギーによる発電の割合を引き上げ、スマートグリッドの整備と分散型エネルギーの導入を進め、風力発電・太陽光発電・バイオマス発電の発展を奨励し、水力発電所・原子力発電所の建設をいくつかスタートさせる必要もある。天然ガス、炭層ガス、シェールガスの探査・採掘・応用を強化する。資源性産品の価格改革を推し進め、家庭用水道・ガスの累進従量料金制を確立し、完全なものにする。建物の省エネ性能の向上や補助金交付による省エネ製品購買促進プロジェクトを実施し、クリーン生産、グリーン・低炭素技術、循環型経済を発展させ、気候変動への対応能力を高める。水や原材料の節約、資源の総合利用を強化する。省エネ・環境保護関連の技術と製品の開発・普及を急ぎ、省エネ・環境保護産業を活気あふれる成長産業に育て上げていく。
生態系の保護・整備を推し進める。耕地の林地・草地への復元を引き続き実施し、今年度は目標面積を約33万ヘクタールとする。牧場の草地への復元、天然林の保護、砂漠化・石漠化対策、土壌の保全、湿地の復元など重要な生態プロジェクトを実施する。三江源(長江・黄河・瀾滄江の水源地帯)の生態環境保護を強化する。主体機能区制度を十分に機能させ、地域・流域にまたがる生態関連の補償の仕組みの構築を推し進める。生態環境の保護は、後世の人々のために今われわれが成し遂げるべき事業である。各級政府と社会全体でよりいっそう積極的に取り組みを進め、われわれの生活・生命の拠り所であるみなの故郷をしっかりと守っていかなければならない。