北京の地方出身者、收入の50-70%が家賃に消える
一夜で300万元(約3900万円)の値上がりなど、急激な高騰を見せている北京の不動産市場を背景に、中国のラジオチャンネル「中国之声」はこのほど、多くの非北京戸籍所有者の收入の50-70%は「家賃」に消えていると報道。家賃は上昇しても、給与は上がらず、市民の負担がますます重くなっており、生活の質が下降している。中国国営のラジオ局「中央人民広播電台」のウェブサイトが報じた。
家賃が高騰している原因に関して、北京の不動産仲介大手「中原地産」市場研究部の張大偉・総監は、まず不動産価格が高騰していることを指摘。「不動産投資家の多くが投資収益を求め、不動産価格が高騰していることを背景に、家賃を引き上げている」という。また、需要と供給という観点から見て、北京のような大都市では、「地方出身者の継続的増加に伴う住宅需要の拡大や、投機・投資性の不動産購入に対する政府の規制策も家賃を押し上げる要因となっているという。
また、政府の規制により、商品房(分譲住宅)の取引成立件数が減少したことにより、同市内の一部の不動産仲介業者は転貸(てんたい)などの手法により、利益を確保しようとしていることも挙げられる。以前なら、仲介料で利益を稼いでいた仲介業者が、家賃の差額を利益としているのだ。
北京、上海、広州などの大都市の家賃高騰は小都市よりも急速に進む。張総監は「今後、公租房(中低所得者向け賃貸住宅)の供給により家賃の『急激な高騰』には歯止めがかかるかもしれないが、現状からして、家賃を高騰させている要素が引き続き存在すると見られるため、上昇傾向は続く」と分析している。
一方、中国社会科学院の曹建海・研究員も、家賃の高騰が近年急激に進んでいる主な原因として、借り手が継続的に増加し、供給が需要に追い付いていないことを挙げる。ただ、さらに重要な原因として、「不動産仲介業者のマネーゲームや家賃吊り上げ工作」を指摘。「家賃高騰の問題を解決するためには、まず不動産仲介業者に対する規制から着手するべき」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2012年12月17日