両親があと30年生き、その間に年に1回、5日間帰省するとしよう。友人との付き合いや食事、睡眠の時間を引くと、1回の帰省の間に実際に両親と過ごす時間は、わずか24時間となる。つまり、30年で両親と過ごせる時間は、約1カ月に当たる720時間という計算になる。「残酷」と感じるかもしれないが、これもまた現実だ。両親と一緒に過ごせる時間を大切にしよう。荊楚網が報じた。
湖北省武漢市市内で市民を対象に取材をし、両親があと50年生きるとして同様の計算をしてみると、ほとんどの回答者が、両親と一緒に過ごす時間が1年以下という結果になった。指摘されなければ知ることはないが、実際に計算して見るとその結果に驚かされる。
70年代生まれ:自分は帰省できなくても兄弟が世話
ある大学の教師という湖南省出身の劉さん(男性)は、故郷以外の地で働いて12年になる。そんな劉さんは、3年で2回しか帰省できず、1回当たりの滞在時間は3日。もし、両親があと50年生きるとしても、実際に両親と過ごせる時間は数カ月という計算になる。「両親と一緒に過ごしたくない人などいない。でも、家から出て働いているのだから、一生懸命がんばらなければ、両親に合わせる顔がない。今の私には両親を呼び寄せる能力もなく、どうしようもない」と劉さん。「自分はめったに帰省できないが、姉が両親の世話をしてくれているから、両親もさびしさを感じることはない」とした。
一方、武漢市出身で、1970年代生まれの安さん(女性)は、「武漢市で働いているから、普段は両親と一緒に住んでいないものの、周末には実家に帰ることができる。1年のうち5カ月は両親と一緒に過ごしている。それに、兄もしょっちゅう帰って両親と一緒に過ごしている」と語った。
80年代生まれ:めったに帰省できず涙も
中国では1979年から計画出産政策が実施されているため、80代生まれの人のほとんどが一人っ子で、その大多数が実家を離れて仕事をしている。取材では、多くの人が帰省できずに申し訳なく感じていることが分かり、涙を流す人さえいた。
山西省出身で、個人経営者である宋さん(女性)は、取材中に突然目を赤くした。「1年で帰省できるのは10日ほど。両親と一緒にいる時間がとても少ない。私は一人っ子で、両親がさみしさを感じないように、毎日30分くらい電話をかけている。将来、経済力があれば、両親を自分の元に呼び寄せたい」。
一方、政府機関に勤める石さん(女性)は、1年に2回帰省するという。1回当たり3日間で、両親があと50年生きるとしても、一緒にいられる時間は1年以下の計算になる。「これからは、両親と一緒に過ごす時間を大切にしたい」と石さん。