省を跨いで通勤しているサラリーマン |
14日午後5時40分、北京市朝陽区内にある路線バスの停留所「郎家園」には長蛇の列ができていた。列を作っている人のほとんどが、省を跨いで通勤しているサラリーマンで、夜はベッドタウンの河北省三河県燕郊で、仕事は北京市内でという日々を過ごしている。人民日報が報じた。
バスを待つ列に並んでいた1980年代生まれの男性・段磊さんは、「ここから燕郊まで大体40分。会社は石景山区にあるので、まず地下鉄に1時間乗ってここまで来る。それから家に向かう」と、往復だけで毎日3時間以上かかる生活を語る。朝は5時半に起きなければ間に合わず、夜は8時半が最終バスであるため、残業がある日は会社で寝泊まりするしかないという。
燕郊と同じく北京のベッドタウンとなっているのが河北省廊坊市固安県だ。北京市大興区と同県は永定河(川)を挟んだ目と鼻の先。朝陽区のある家具屋で販売員をしている同県の李婷さん(女性)は、「会社から家まで大体2時間。往復だけで毎日4時間かかる」と話す。
燕郊と同県で家を購入する人の約半分が北京で働いている人で、省を超えて通勤する人の数は30万人以上と試算されている。
北京と河北省を毎日往復することを選ぶ人のほとんどの理由が「北京の不動産が高すぎる」だ。路線バスに乗って燕郊に入ると、数百メートルの道路沿いに、高層マンションが並んでいる。同地の新築物件の値段は、1平方メートル当たり約1万元(約16万5千円)。あるマンションの営業マンによると、「北京では手も足も出ない若者でも、ここなら、お金をかき集めれば買える。また、北京なら地下室しか借りられない人でも、ここなら同じお金で2LDKの家が借りられる」という。