製品名は当然ながら表面的な変化であるが、実質的な変化も生じている。例えばソニーが発売したXperia Zは、1300万画素の裏面照射積層型CMOSという、サイバーショットのカメラ機能を搭載しており、ディスプレイとエンジンはBRAVIAから来ている。同製品は平井社長の「ワン・ソニー」戦略が、ハード面で実行された証拠とされている。
◆VAIOの売却、苦しい選択
ソニーは世界最大の音楽・映画製作企業で、日本で最大の利益を上げている保険会社であるが、多くの人はソニーを家電メーカーとして認識している。トリニトロン、ウォークマン、プレイステーション、VAIOなどのスター家電製品により、ソニーは世界家電大手に成長した。
しかし平井社長は、家電事業にメスを入れることを決定した。ソニーは2月6日、ノートPC事業をVAIOブランドと共に、投資ファンドに売却することを発表した。VAIOは評判が良いが購入者が少なく、またPC業界の全面的な低迷を受け、黒字を実現できなくなった。平井社長にとって、VAIOの売却は「苦しい決定」であり、身を切り裂き命を救うようなものであった。
◆テレビ事業の分社化
VAIOの売却と比べ、テレビ事業を分社化し、専門的な子会社を設立することは、「ワン・ソニー」という戦略にもとるように見える。これは、平井社長の財務面のテクニックと憶測されている。つまり最大の赤字を抱える事業を一時的に切り離すことで、2013年度の業績を粉飾しようというのだ。