日本では年に一度の労使交渉「春闘」が、今月上旬に始まった。今年の春闘は非常に激しい駆け引きが展開されており、注目を集めている。日本が徐々にデフレを脱却し、4月の消費増税を控える中、増給は「アベノミクス」を継続させる重要な支柱になっているからだ。人民日報が伝えた。
春闘とは毎年4月の新会計年度を前にし、各業界の労働組合が統一的に大企業と交渉し、業界全体の基本給の調整幅を確定することを指す。春闘の結果は、企業の未来の経営に対する予想を反映する。
年初の施政方針演説で、安倍首相は「経済の良好な循環を実現する」と発言した。これは「企業の経営の改善→増給→消費刺激→物価上昇」のことで、最終的には日本を10数年に渡るデフレから脱却させる。しかしアベノミクスが現在歩んでいる道はこれとは対照的で、「紙幣の大量発行→物価上昇の期待感を形成→駆け込み消費を刺激→物価上昇」となっている。昨年11月、日本の生鮮食品除く消費者物価指数(CPI)は1.2%上昇し、5年ぶりに1%を突破した。今年4月に消費税率が3%引き上げられると、約2兆円の需要が減少すると予想されており、増給が内需補充の必要な手段となる。安倍首相はこれに向け、昨年秋より多くの場で、企業の増税を強く呼びかけている。
日本労働組合総連合会は、資本家側の利益を代表する日本経済団体連合会(経団連)に、次年度の毎月の基本給を1%改善するよう求めている。企業別・業界別に見ていくと、トヨタ自動車労働組合は毎月4000円の、パナソニックグループ労働組合は3500円の、新日鉄住金などの製鉄・造船業の労働組合は3500円の増給を求めている。労働組合側が基本給の改善を求めるのは5年ぶりで、経団連も労使交渉方針の中で増給に同意している。しかし経営が好転した企業であっても、大部分の利益を社員に還元することを望んでいない。財務省の統計データによると、2013年3月時点で、日本企業の内部に留保されている利益額は304兆円の過去最高額に達した。企業が増給を避けるのは、設備投資拡大を検討しており、また未来の経済情勢の急激な変化を懸念しているためだ。