日本が提出している証拠だけでは、捕鯨を「科学的研究目的」と証明するには不十分なのだ。そのため、ICJは、日本の南極海での調査捕鯨を「科学的でない」と結論づけ、調査捕鯨の中止を命じた。ICJは一審制での控訴を認めていない。
「文化」の名目で経済活動
日本において、捕鯨は一種の伝統で、大規模な商業捕鯨には400年の歴史がある。第二次世界大戦以降の食糧危機において、鯨肉が多くの人の命を救った。そのため、日本人は鯨肉に対して、特別な思いがある。また、古式捕鯨発祥の地である和歌山県太地町では、捕鯨が一種の文化的シンボルとして深く根付いている。日本捕鯨協会も、「捕鯨は日本の歴史や文化と切っても切り離せない」と率直に述べている。では、捕鯨は単に「文化の継承」なのだろうか?答えは、明らかに「NO」だ。その背後には、経済的、政治的もくろみがかくされている。
捕鯨の産業チェーンは現在、日本沿海地域の柱的産業の1つとなっている。そのため、捕鯨活動が禁止されれば、失業や倒産、財政収入の減少などが問題になってしまう。これも、日本が捕鯨を断固として続ける原因の1つだ。
また、日本は「科学的研究調査」を名目に、捕鯨の範囲を拡大し続けている。あるアナリストは、「捕鯨活動が禁止されれば、排他的経済水域(EEZ)における漁業資源捕獲の便宜を失うことになり、本土の市場の不足分を補充するのが難しくなる」と分析している。