北京でウィンドーショッピングをしていて、ある有名な火鍋チェーンの店の前を通りかかると、「特級ニュージーランド羊肉」と書かれた大型ポスターが目に飛び込んできた。北京の気温は20度くらいまで上がったが、火鍋店に続々と客が押し寄せ、汗を流しながら肉を食べている様子を見ると、冬はまだ終わっていないという感じがする。
中国伝統の火鍋で輸入肉を食べるのが、外食産業の流行になっている。クラス感もあり、実質的な利点もある。さきに米国のファーストレディのミシェル・オバマ大統領夫人が四川省成都市の火鍋店を訪れた際には、激辛味の鍋のオーストラリア産ロース牛肉が大いに気に入り、立て続けに2皿注文したということがあった。
火鍋店の関係者によると、1皿の量が同じだとすると、内蒙古(モンゴル)自治区の国産羊肉が35元以上するところ、ニュージーランドの羊肉は25元以下だ。価格的優位を背景に、「羊の国」ニュージーランドは近年、中国市場に大攻勢をかけている。中国は英国に代わってニュージーランド最大の羊肉輸出市場となり、2013年の輸入額は5億5千万ドル(約566億円)に達して、10年の6倍になった。またオーストラリア産の牛肉は、中国の輸入牛肉全体の50%以上を占めている。
牛肉や羊肉の輸入の急増は、国際貿易の繁栄をうかがわせるもので、1億人に及ぶ中国国民の生活を変化させてもいる。ロイター社の報道によると、中国では中産階級がますます増え、高タンパク食品への需要が拡大している。洋食レストランのリブアイステーキやしゃぶしゃぶ館の新鮮な羊肉などが、スマートフォンや自家用車と同じようにハイクラスな暮らしのシンボルになっている。