「中国の脳科学研究の発展戦略の研究」をテーマとする香山科学会議が、このほど北京で開かれた。同会議に出席した専門家は、中国脳科学計画を一日も早く開始し、国際脳科学研究の要衝を占め、経済発展、社会の調和、科学技術の進歩という長期的な目標を達成すべきと呼びかけた。中国科学報が伝えた。
科学システム全体の発展、ビッグデータ時代の到来に伴い、情報、コンピュータ、ナノテクノロジー、先進製造などの学科と、脳科学のつながりが日増しに強まっている。中国科学院院士、復旦大学教授の楊雄里氏は、「脳科学は神経計算学、ヒトの記憶に基づくストレージ、スマートロボットなどのハイテクの急速な発展を促す。脳科学は新たな経済革命を力強く促し、新たな経済成長の戦略的な原動力となる」と指摘した。
中国科学院院士、中国科学院神経科学研究所研究員の郭愛克氏は、「現在の脳科学の発展は、一つの重要な転換点に差し掛かっている」と語った。
郭氏は、「この30年間、脳科学が獲得した研究成果と技術的な進展を基礎とし、脳科学の基礎研究と応用研究は重大な突破に向け進んできた。先進国は脳科学を、科学の重点分野として経費面から支援してきた。アメリカ国立衛生研究所などの機関は、脳科学に毎年数十億ドルを投じており、日本と韓国の経費も中国を上回っている。特に『透明脳』、『彩色脳』、脳内神経活動を測定するハイテク技術の導入により、大脳の活動法則およびその本質に対する認識に深い変化が生じつつある」と述べた。
中国科学院院士、中国医学科学院研究員の強伯勤氏は、「中国は近年、脳・認知科学の取り組みを強化している。国家重点基礎研究発展計画(973計画)は、『脳機能・脳重大疾患の基礎研究』など42件の脳科学に関連するプロジェクトをスタートさせており、国家自然科学基金委員会、中国科学院なども関連する研究を進めている。また海外の神経科学のトップレベルの人材を招聘し、中国脳科学計画の推進に向け基礎を固めた」と話した。
しかし出席者は、中国の脳科学研究は一定の国際的な発言権を手にしたが、先進国と比べ研究チームが小規模で、全体的な水準が劣るといった問題があり、全体的かつ系統的な計画が不足していると指摘した。専門家は、「西側諸国の脳研究の攻勢を受け、中国は中国脳科学研究計画を一日も早く開始すべきだ」と提案した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年4月9日