■留学中、ウォーキングと縁を結ぶ
記者:留学中に、何か特に印象に残っていることはありますか?
金氏:日本留学中に、授業やアルバイトの他に、初めてウォーキングと接しました。ウォーキングとの縁結びは、偶然の出来事でした。
1987年の夏、私は人生で初めてのウォーキング活動、女子大学主催の合宿に参加しました。日本の学校は毎年ウォーキングの活動を実施し、学生の野外でのサバイバル訓練を実施します。みんなで野宿するため、「合宿」と呼ばれています。日がうららかで風も穏やかなあの日、私は学生らと郊外を歩き、青々とした美しい山と川の流れ、鳥の鳴き声と花の香と触れ合い、美しい風景を楽しみました。キャンプ地に到着すると、全員で薪を集め、水を汲み、火を起こして料理をしました。私の日本語はまだ下手でしたが、歩くうちに互いの距離が縮まり、誰もが快活で友好的でした。
この経験は私に深い印象を残しました。私はその後、同じようなウォーキングに頻繁に参加し、多くの友人と知り合いました。体を鍛え、自然の美しい風景を楽しめました。これは一挙両得の運動に違いありません。
■日本の独特な企業文化、団結心が経済の奇跡をもたらす
記者:日本滞在中、文化の違いに不慣れであったり、誤解が生じることはありましたか?
金氏:文化の差による誤解はもちろんありました。卒業後、東京海上保険に就職し、3年間勤務しました。
独特な日本の企業文化についてですが、研修の時から私の脳は支配され始めました。新人研修中、電話の受け方、顧客の迎え方を学び、新人同士で2人1組になり反復練習しました。電話で相手を見ることはできませんが、相手が目の前にいると想定して話をし、お辞儀をする必要もあります。その環境の中で生き残ろうとするならば、溶け込む必要があります。
それから、日本人の団結心が印象に残っています。例えば私のいた事務室には6−7人の職員がいましたが、一つの大きなデスクを囲んで座りました。私の隣は課長で、後ろの2−3メートル離れた所に部長の席がありました。
国内で勤務していた時の習慣で、一日8時間も集中を維持することができませんでした。社員は事務室に入ると仕事の話だけをして、背伸びをすることさえできません。私はその後、時々背伸びをし、あくびをすることがありました。すると部長は、「金さん、腰を伸ばしてあくびをするということは、集中していない証拠です。仕事中に背伸びをしあくびをする日本人はほとんどいません」と言いました。部長に言われると、私はショックを受けました。私はただ背伸びをし、あくびをしただけで、自然の現象かと思っていました。しかし私はそれから数カ月間観察しましたが、仕事中に背伸びをし、あくびをする人が本当にいないことに気づきました。部長はその後私に、「集中していればあくびは出ないはずです。あなたがあくびをするのは、仕事に完全に集中していないからです」と言いました。
1994年に日本の景気が悪くなり、低迷の道をたどっていたころ、私の勤務していた会社は発展を続けました。あの会社で、多くの貿易に関する知識を学びました。その後、私の友人が続々と帰国し、私も帰国してから多くのチャンスを手にできると考えました。こうして私は、1999年に帰国しました。
一休み。