業界関係者の予測によると、20年には中国ネット小売市場の規模は最大で4兆2千億元(約68兆9299億円)に達し、現在の米国、日本、英国、ドイツ、フランスの市場の合計に相当するという。
▽時間や空間に縛られない強みを発揮
ネット小売産業の急速な発展は、中国市場の需要と大いに関係がある。商務部研究院消費経済研究部の趙萍副主任によると、中国は人口の規模が大きく、ネット利用者が多いため、市場ニーズも全体的に大きいという。
実体店舗の小売産業と比較すると、ネット小売には時間や空間などの制限がなく、このことが消費者を強く引きつける力になっている。趙副主任は、「現在の実体店舗の小売産業には配置が不合理、情報サービスが不足、商品が相対的に少ないといった問題があり、特に遠隔地の農村や中部・西部地域では実体店舗の少なさ、サービスの不十分さが問題になっており、ネット小売産業はこうした不足点を補っている」と話す。
科学技術の進歩もネット小売産業の発展を後押ししている。「中国電子商取引発展報告(2013年)」によると、技術イノベーションはeコマースが急速な伸びを維持するための重要な動力であり、モバイルインターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータといった新世代情報技術の革新・応用がeコマース発展の新たな注目点になっているという。
趙副主任は次のように指摘する。スマートフォンの急速な発展が、買い物に不便だった地域の消費者の買い物を便利なものにした。これまでは農村に暮らす人々が町に行かなければ買えなかった商品も、今では携帯電話を開けばどこでも手に入る。またネットの小売価格は安く、低所得層のたくさんの人々のニーズに応えている。