VWがトヨタ包囲網　中国市場で独日の戦いが過熱 (2)

▽成都の第3工場、仏山の第4工場 狭まるVWの包囲網

実際、一汽-VWが成都に工場を建設する前から、VWとトヨタの戦いは始まっていた。一汽-VWが優勢で、成都に進出した際には、市場のニーズを絞り込み、「ジェッタ」と「サギター」を生産して、トヨタに大きな圧力をかけた。

成都での包囲網ははっきりしないが、仏山では激しい戦いが繰り広げられた。一汽-VWが仏山に進出するまでは、この武術の里といわれるエリアは日系車が独占していたが、VWが進出すると、寡占状態は完全にうち破られた。

華南地域の消費者は早くから海外の自動車文化に接触し、成熟した理性的な消費の観念をもっている。この地域は自動車産業に非常に強みがあるとともに、消費力にも非常に厚みがあり、中国で最も活力に富み、最も豊かな地域だといえる。VWは広東省でトヨタと正面から戦い、「ゴルフ7」や「アウディA3」などの競争力の高い車種でトヨタを迎え撃った。人々はこのような戦術を取るVWの賢明さに感服した。両車種は評判の高いコンパクトカーで、華南地域における日系車の「屋台骨」に打撃を与えただけでなく、仏山工場の基盤固めもすぐさまフォローした。

▽VWのトヨタ包囲網の背後に独日のシーソーゲーム

ドイツのメルケル首相は中国訪問の2日目、国務院の李克強総理とともに、両国の数十億ユーロ（1ユーロは約138円）に上る経済貿易合意の調印を見守った。その中にはドイツのVW本社と中国の一汽との青島、天津における合弁会社設立も含まれ、1社あたりの投資額は10億ユーロ（約1380億円）とされた。

メルケル首相の訪中では自動車が重点になった。一汽-大衆汽車有限公司成都支社を日程の初めに組み込んだことから、ドイツ政府が自動車をどれくらい重視しているかがわかる。