中国の比較文学者である王敏(ワンミン)さんは、2003年から法政大学国際日本学研究所の教授を務めているほか、日本華文文学ペンクラブの会長も務めるなど、日本で長年、日本や中日文化の研究を行っている。また、その豊富な経験を生かし、執筆活動も行っており、著書は150冊以上。同分野の研究における、数少ない専門家である王さんの著書は、日本だけでなく国際的にも大きな影響を及ぼしている。(文:高海寛・中日関係史学会副会長)
今年5月、王さんは世界知識出版社から中国と日本の文化を比較検討した書籍「漢魂と和魂--中日文化比較」を出版した。中日文化の比較を行っている学者や研究者、中日文化に注目している人達にとって、参考の価値が大いにある一冊となっている。王さんは、中日文化研究の分野において、貴重な貢献を果たしている。
中華文化というと、中華思想や精神、意識といった角度から研究を進めることが多く、中国や日本のみならず、国際的にも「漢魂」という言葉が使われるのはまれだ。一方、日本の民族的文化や精神、思想は、「和魂」、「大和魂」などと呼ばれる。「和魂」は日本の民族文化、思想、精神をポジティブに表す言葉である一方、「大和魂」は、極端な民族主義や軍国主義を秘めた日本文化をネガティブに表す言葉だ。