日本銀行(中央銀行)はこのほど行われた金融政策決定会合で経済情勢を分析・判断した際、消費税率引き上げが経済成長にマイナスの影響を与えたが、経済が復興に向かう基本的な状況には変化がないとの見方を示した。日銀が掲げるインフレ目標は来年にも達成可能で、その時の物価水準は2%前後に達する見込みという。こうした見方と同時に、日銀は目下の情勢を踏まえて今年の経済成長率予測値を下方修正し、当初の1.1%から1.0%に引き下げている。「経済日報」が伝えた。
日銀のこうした判断には、現在の日本経済の状況がある程度反映されている。すなわち、経済成長が鈍化すると同時に、物価は上昇を続け、経済に「スタグフレーション」の兆しがみえるという状況だ。民間の研究機関も、スタグフレーションの影が迫っているとの見方を示す。
これまでずっと、日銀の政策目標はデフレからの脱却と物価水準の上昇に集中し、だからこそ史上最大規模の量的緩和政策が制定されることにもなった。今年に入ってからは、日銀の政策と外部の要因に後押しされて、日本の物価水準は上昇を続け、電気、ガス、医療などの公共料金が上昇しただけでなく、生活と密接に関わる食糧、食用油、生鮮食品、果物、野菜、ガソリン、不動産などの価格も軒並み上昇した。4月1日に消費税率が引き上げられると、物価はさらに高騰し、長らく売り上げが落ち込んでいた家電製品でさえも価格が下げ止まって上昇に転じた。日本政府の発表によると、5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%上昇し、消費税率引き上げ要因を差し引いた実質上昇率は1.7%に達した。日銀のまとめた統計によれば、日本のインフレ率は年初の0.3%から現在は1.4%に上昇している。これについて日銀は懸念を抱かないどころか、「物価上昇は日銀の設定した目標がまもなく達成されることを物語るもの」と喜びの声さえ上げている。
物価上昇と同時に、日本経済は急転直下の状況にある。第1四半期(1-3月)の消費税率引き上げ前にみられた「駆け込み需要」の影響で、経済は急速に成長したが、その反動である第2四半期(4-6月)の落ち込みは人々の予想をはるかに超えていた。政府の推計では第2四半期の経済成長率はマイナス5%だが、民間の研究所ではマイナス6%以上という見方が一般的だ。8月を間近に控え、経済情勢には好転の兆しがなく、経済成長を牽引するトロイカの消費、投資、輸出は、いずれもなおパワー不足だ。最新の統計によると、5月の一般世帯の消費支出は同8.0%減少し、小売産業の売上高は同4.8%減少し、個人所得も同4.6%減少した。消費の低迷を受けて、企業の設備投資も冷え込み始め、企業の投資意欲を反映する機械設備の調達率は5月に19.5%も減少した。最も深刻だったのは輸出で、円レートは小幅に低下したが、輸出は引き続き力不足で、5月は15カ月ぶりのマイナス成長となった。現在、日本経済の成長を促しているのは政府の公共投資だが、民間需要が大幅に落ち込む状況の中で、経済全体に対する公共投資の牽引力には限界があり、長続きすることは難しいとみられる。
日本の経済や国民の生活に与える打撃は、デフレよりもスタグフレーションの方が大きい。日本経済は長年にわたってデフレに苦しんだが、物価水準は安定的でやや低い水準にとどまり、人々の生活にそれほど大きな圧力はかからなかった。だが日本政府と日銀の経済政策がこうした均衡をうち破り、物価上昇をひたすら招き寄せようとし、また消費税率を大慌てで引き上げた。その結果、日本経済はスタグフレーションの窮地に追い込まれようとしている。これからの数カ月で日本経済が好転しなければ、安倍首相の経済政策「アベノミクス」と日銀の通貨政策は完全な失敗だったということを意味する。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年7月24日