同時に、アメリカもTPPを通じて中国をけん制し東アジアにおける経済覇者の地位を保とうとしている。米通商代表部(USTR)マランティス次席代表が10月下旬米国で招集した上院公聴会において、「中国はアジア太平洋地域で(自由貿易FT)協定締結を拡大している。そのため、TPPは我が国がこの地域における経済競争力を保つ必要欠かせないものだ」と強調した。同時に、米国財務省のブレイナード財務次官(国際問題担当)もこの問題に触れ、「TPPは実際、中国側に我が国が望んでいる知的財産権、為替レート、公平的競争といった分野に歩み寄ってもらうための戦略の一部だ」と明かした(2011年11月付『日本経済新聞』)。
更に沖縄普天間米軍基地の問題を見てみよう。民主党が当選前に提起した普天間基地移設計画はアメリカの重圧の下でうやむやになってしまった。沖縄県民が大反対し、パイロットの殺し屋と揶揄された「オスプレイ輸送機」についても、2012年に普天間基地での配備を完了した。日本政府がTPP交渉参加表明と同時に、東アジアの協力強化から日米同盟の関係強化へと戦略的転換を果たしたのだということは一目瞭然だ。
日本の国家戦略が東アジア共同体からTPPへと転換している中、中日関係も外部環境の悪化に伴い経済貿易の厳冬期に入った。それまで中日関係はよく「政冷経熱」という言葉で喩えられていたが、今は「政冷経冷」という言葉がより適切であろう。中日関係の悪化要因をややもすると安倍晋三の右傾化路線に帰するが、日本が東アジア共同体志向からTPP志向へと変化するプロセスから、「中日経済貿易寒波」は日本のアジア戦略転換によってもたらされた当然の結果だということが分かる。
「チャイナネット」2014年8月29日