中国が今後も、政府の総合的な社会統治能力を改善し、法制の効率を高め、金融システムの効率を改善することができれば、長期的な成長の先行きは明るい。
中国経済の新たな成長分野はどこにあるか
中国経済に今後も大きな長期的成長力があるとすれば、将来の成長分野はどこにあるのか。私の分析では、今後の中国経済には3つの成長分野がある。可能性の高いものから順に挙げる。
第一の成長分野は、国民生活向けの公共消費型のインフラ投資である。公共消費型のインフラ投資とは、将来の庶民の消費に直接かかわり、一定の公共産品としての性質を持つインフラ投資を指す。これには高速鉄道や地下鉄、都市インフラ、災害防止能力、農村のゴミ・水処理、空気の質の改善、社会保障向け住宅などが含まれる。
公共消費型のインフラ投資はなぜ、中国経済の現在さらに将来の第一の成長分野と言えるのか。最も根本的な原因は、これらの投資が、中国の庶民の高い必要性に支えられ、庶民の将来の幸福感を最も直接的に高められることにある。中国の公共消費の水準は不断に高まっている。こうした投資は、経済成長を大きく引っ張ることとなる。中国の固定資産投資のうち約25%はすでにこれらの投資に使われており、この比重は今後も高まる可能性がある。
中国経済の第二の成長分野は、既存の生産力の環境型改善とグレードアップである。中国の製造業は、生産力と生産量から言えば世界の先頭に位置するが、各種の生産設備は往々にして高汚染でエネルギー効率が低い。このような旧式の生産力を近代的で高効率の生産力へとグレードアップするには投資が必要となる。この投資は、中国の経済成長を長期的に引っ張る力となる。筆者のおおまかな計算によると、高エネルギー消費の5大産業(非鉄金属、鉄鋼、電力、化学工業、建材)だけでも、生産力の更新には10年の期間が必要となり、GDPの成長を毎年1%引っ張る力となる。その結果としてもたらされる低汚染と低エネルギー消費の生産力は国民の長期的な利益となる。
中国経済の第三の成長分野は、住民の消費である。中国のGDPに占める住民消費の割合は2007年以降拡大を続けており、すでに45%前後に高まっていると見られる。だが住民消費が経済の重要な成長分野となるには、GDP比率が50%を上回る必要があり、これにはさらに4、5年の時間がかかる。
以上のように、中国経済において、最も短期的な伸びが期待でき、長期的に依存できる最大の成長分野は、公共消費型投資と考えられる。(李稲葵 清華大学中国と世界経済研究センター主任)
「チャイナネット」 2014年8月29日