習近平国家主席はこのほど、タジキスタンとモルディブ、スリランカ、インドを歴訪し、タジキスタンのドゥシャンベでは上海協力機構の加盟国首脳理事会第14回会議に出席した。訪問期間中は、タジキスタンなど4カ国の首脳と、経済・貿易・金融・インフラ建設・海洋・観光・文化・教育など多方面の協力の推進に努め、多数の協力合意を締結した。今回の訪問は、中国の周辺外交の主張を力強くアピールしただけでなく、一連の大型契約によって中国の庶民の生活に現実的な影響を与えるものとなった。人民網が伝えた。
□構想進む2つのシルクロード 高まる投資熱
タジキスタンとモルディブ、スリランカはいずれも、シルクロード経済ベルトか海上シルクロードに沿う重要な位置にある。「習主席の今回の訪問は、この2本のシルクロードの戦略構想を実現するための重要な契機になる」。北京大学南アジア研究センターの王旭・センター長補佐によると、2本のシルクロード構想は、中国が、東南アジア・南アジア・中央アジアへの開放を加速するために打ち出したもの。習主席の今回のタジキスタンと南アジア3カ国の訪問は、この戦略の発展を大きく推進する役割を果たす。
北京大学南アジア研究センターの姜景奎氏によると、習主席は今回、この「2本のシルクロード」と「バングラデシュ・中国・インド・ミャンマー経済回廊」の2つの大きな提案を行った。これは事実上、中国経済の対外投資を促し、新たな発展のチャンスを求める措置と言える。中国の企業が海外に投資して海外で経済収益を得れば、それは国内に帰って来て国民経済を潤し、生活水準を高めることとなる。
中国・インド著名人フォーラムの事務局長でパキスタンやインドの大使を務めた周剛氏によると、今回訪問された4カ国と中国はいずれも、困難な発展の任務に直面し、協力強化を必要としている。このような協力は双方に利益をもたらす。貿易や投資のさらなる拡大、インフラ建設の協力強化、プロジェクト請負などはいずれも、中国にとって有利であると同時に、相手側にとっても有利である。
周氏によると、中国企業の海外進出はビジネスの計算に基づくもので、企業自身に一定の利益をもたらすものとなる。もう一方では、中国の余った商品と労働力を移転することで、中国と相手国とを経済発展の長所で補い合い、経済発展戦略のさらなる連結を実現するものともなる。例えば現在、インドとすでに締結したプロジェクト請負契約は約630億ドルに達する。プロジェクト請負に参加する中国企業にとっては良い知らせとなる。
□スリランカとの自由貿易協議、グジャラート州の工業パーク 雇用創出の効果も
駐スリランカ中国大使の呉江浩氏はメディアの取材に対し、習主席の今回の訪問中、両国が、中国・スリランカ間の自由貿易区交渉の正式開始を決定することを明らかにしている。呉大使によると、自由貿易区の設置は、各方面の積極的な効果をもたらし、投資や人員の往来、産業協力などもこれによって利益を得て、両国経済協力はさらに高いレベルへと発展する。
「中国の海外投資プロジェクトは多くの雇用を生むことになる。これは海外の労働者にとっての良いニュースとなるだけでなく、中国本国の労働者にも海外労務の機会を与えることとなる。産業パークの建設も国内経済構造の調整を助ける」と王旭氏は語る。