シンクロナイズドスイミング中国代表チームを世界有数の強豪チームとした立役者で、現在は日本代表コーチに復帰している日本人ヘッドコーチ井村雅代氏は20日、かつての教え子である黄雪辰・孫文雁ペアが、自国チームを破り、インチョンアジア大会シンクロナイズドスイミングのデュエット・フリールーティン(FR)で最も高い表彰台に立つ姿を目の当たりにした。だが、今回の結果によって、中国シンクロ界の前途を憂慮する外部の声が全く排除されたという訳ではない。日本は今回、わずかの得点差で中国に惜敗しただけだ。日本のシンクロは、井村氏の復活によって、再びアジア覇者の座を奪回できるのだろうか?解放日報が報じた。
〇中国に大きなプレッシャーをかけた井村氏
中国人は井村氏に感謝しなければならない。「日本シンクロ界の母」と称えられる井村氏は6年間、中国代表チームの指導にあたり、2008年北京五輪では、史上初のメダルを中国のシンクロ界にもたらした。次の2012年ロンドン五輪では、デュエットFRで銅メダル、チームFRで銀メダルを獲得、中国シンクロ界の歴史を塗り替えた。井村氏がこれほどまでに注目されるのは、中日両国が女王の座に最も近い好敵手同士だからだ。
ロンドン五輪後、当時62歳の井村氏は、英国代表コーチに就任した。その僅か1年後、氏は再び日本に戻った。その後数年間、日本にプレッシャーをかけられた中国は、危機感に見舞われ続けた。黄雪辰・孫文雁ペアは、「試合のたびに、危機感がより大きいものとなった。私たちは井村先生のことを良く知っているので、特に先生の存在感というプレッシャーが大きかった」と振り返った。そして、そのプレッシャーに立ち向かうためには、ただひたすらトレーニングに励むこと以外に方法はなかった。
競技場内では対戦相手だが、競技場を出ると、相変わらず子弟の関係だ。「私が先生に挨拶すると、先生は昔と全く変わらない様子で応えてくれる」と黄雪辰選手は笑いながら話した。