中国人民銀行(中央銀行)貨幣政策委員会の元委員である、清華大学(北京)の李稻葵教授は20日、光大銀行北京支店で講演した際、「不動産業界の不調が中国経済成長の足かせとなっているが、▽民生型、公共消費型のインフラ投資▽現存する生産能力をアップグレードしエコ型にする▽国民消費---という新たな成長分野がある」との見方を示した。新京報が報じた。
公共消費インフラは融資に課題
中国経済の発展は現在、減速し、上半期の国内総生産(GDP)の成長率は7.4%にとどまった。また、これまで成長を牽引してきた「輸出」や「不動産」も不調で、中国国家統計局が発表した、8月の各種経済データも振るわなかった。
このような経済発展の減速の本質的原因について、李教授は、「これまで成長著しかった分野が減速している一方、新たに成長している分野がまだ突出化していないため」との見方を示す。
「過去約20年間、中国の経済成長を支えてきたのは『不動産』と『輸出』。過去十数年、不動産開発やそれが牽引してきた関連の産業は、中国経済成長の一番の原動力だった。一方、輸出は、中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、毎年2ケタ、最高で20%の成長を遂げてきた。07年の輸出がGDPに占める割合は30%以上に達した」と李教授。
しかし、この2つの分野の成長は現在、減速している。では、中国経済の新たな成長分野とは何なのだろう。李教授は、▽民生型、公共消費型のインフラ投資▽現存する生産能力をアップグレードしエコ型にする▽国民消費---の3つを挙げる。
李教授によると、公共消費型インフラ投資とは、高速鉄道や地下鉄、都市インフラ、防災能力、農村のゴミや水の処理、大気の質の改善などへの投資で、一般の固定資産投資とは異なるほか、新たな生産能力を形成することも、生産能力が過剰になることもない。本質的に公共消費の範囲なのだ。
例を挙げると、高速鉄道や地下鉄への投資は民生型で消費型、かつ公共型の投資。李教授は、「中国と欧米の主な差は、都市インフラで、中国は公共型の投資プロジェクトが足りない」との見方を示す。