中国の電子商取引大手「アリババ」が19日、ニューヨーク市場で正式に新規株式公開(IPO)を行った。銘柄コードは「BABA」。アリババは15日、米証券取引委員会(SEC)に文書を提出し、IPOの公開価格を66ドルから68ドルに設定している。上限の68ドルで計算すると、アリババのIPOによる融資金額は218億ドルを超え、アリババの時価評価総額は1749億ドルに達したこととなる。クレジットカードのVISAが2008年3月に196.5億ドルで記録した米株式IPOの最大融資額を更新した。「中国経済週刊」が伝えた。
この数字は、米国の株式史上、また世界の株式史上で最大の融資記録となった。アリババの時価評価総額も、米電子商取引大手の「アマゾン」(9月17日時点で約1500億ドル)を完全に上回ることとなった。
この2週間近く、馬雲CEOとそのアリババ社世界的な人気を集めたと言っても大げさではない。ニューヨークでの最初のIPO説明会は来場者でパンクし、機関投資家の株式購入が殺到して追加割当が行われ、公開価格と総評価額は幾度にもわたって引き上げられた。
これほどの投資熱意は、中国企業の上場にかつてなかった魅力をアリババが持っているからだろう。資本密集率は低いにもかかわらず驚愕のキャッシュ・フロー創造力を持ち、巨大なボリュームを持ちながらも高速成長を続ける同社の業績データは、米国のスター企業のフェイスブックやグーグル、アマゾンと比べても抜きん出ている。
この圧倒的な条件に趣を添えるのが、馬雲ならではと言える心にしみる情熱的な言葉の数々だ。アリババが過去15年にわたって、リトル・ガイ(小さな企業や無名の人)たちの夢の実現をいかに助け、何億人もの人々の生活の方式をいかに変え、インターネットを通じて中国と世界とをいかにつないできたか――。
9月10日は馬雲の50歳の誕生日だった。今年の誕生日プレゼントは、中国一の大金持ちの座という格別なものとなった。アリババの評価額と馬雲の保有株比率で計算すると(馬雲氏個人のアリババ株保有率は8.9%)、馬雲の資産は200億ドルを超える。李彦宏や馬化騰、王健林を超えて中国一の資産家となったのは間違いない。
だがアリババのIPO成功で馬雲より笑いをとどめられないのは、日本のソフトバンクグループ社長の孫正義だろう。この身長わずか150cm前後の韓国系日本人は、世界の投資界で崇められる存在だ。孫が14年前にアリババに行った投資は、孫正義を世界一の金持ちにする可能性さえある。孫正義のソフトバンクグループは、保有比率は34.4%のアリババの筆頭株主。68ドルの発行価格で計算しても、孫正義の手中にあるアリババの株価総額は600億ドルを超えることになる。