日本の安倍首相が中国への態度を軟化させたのは、客観的な原因を持っており、「仕方なし」という色合いが濃い。安倍首相が中国に対するこれまでの強硬な立場を主観的に後退させたとは言えない。京華時報が伝えた。
日本では9月29日、今年度の臨時国会が招集された。安倍首相は所信表明演説を行い、中日両国が安定的な友好関係を築いていくために、首脳会談を早期に実現し、対話を通じて「戦略的互恵関係」を発展させたいと語った。
安倍首相は就任後、「中国脅威論」を語るのがほとんど習慣化していた。中日首脳会談を実現したいとも何度か言及しているが、それも、中日関係悪化でハイレベル会談のできない責任が日本側にないことを示すためと考えられている。だが今回の国会発言では、安倍首相はいつになく低姿勢で、「中国脅威論」を口にすることなく、中日友好の重要性を強調した。その本当の意味はどこにあるのか。安倍首相の政治姿勢が変化したことを示しているのか。
安倍首相が中国への態度を軟化させたのには、時間的な要素が働いている。11月、APEC首脳会議が北京で開催されるが、首脳会議期間中に中日首脳会談を実現することは安倍内閣の最近の外交目標の一つとなっている。日本はこのため、意思疎通のパイプをすでに始動させている。安倍首相がこのような外交日程を設けた原因は、中国指導者と正式な会談が開けないことが安倍外交の失点のシンボルとなっていることにある。安倍首相が就任してから、中日関係は両国の国交正常化以来最悪の状態に達しており、安倍首相にはその責任がある。もしも両国が首脳会談を開催できれば、安倍首相はポイントを取り戻すことができる。
安倍首相の態度軟化にはさらに、経済的な要素も働いている。安倍首相の就任以来、量的緩和と財政出動、民間投資刺激という「3本の矢」によって、日本経済は一度は回復の兆しを見せ、市場取引は活発となった。だが今年は年初から、アベノミクスの刺激作用が急速に減退し、第2四半期には経済が急激な後退を見せた。日本内閣府が最近発表したデータによると、日本の第2四半期のGDPは前年同期比0.4%の成長にとどまった。個人消費はゼロ成長となり、GDPに対する内需の貢献はプラスからマイナスに転換した。制限なしの刺激策に踏み切りながらもこうした経済データが出てきたことは、アベノミクスの効果が失われつつあることを示している。日本経済の振興には、輸出市場が頼みの綱となる。だが中日関係が氷点にまで下がっていることで、最も重要な輸出市場である中国における日本製品のシェアは低下している。中国市場の支えを失えば、日本経済はさらに下落する恐れがある。このような状況の下、中日関係を緩和し、日本の輸出市場を安定化させることは、アベノミクスの効果を維持するための最良の選択となる。アベノミクスの効果がなくなれば、安倍内閣の支持率の維持は厳しい試練に直面することとなる。
このように、安倍首相が中国への歩み寄りを見せていることは、客観的な原因によるもので、「仕方なし」という色合いが濃く、中国に対するこれまでの安倍首相の強硬な立場を主観的に後退させたとは言えない。国会で質問を受けた際、安倍首相は依然、集団的自衛権の解禁を進める立場を崩さなかった。まさにこの集団的自衛権の解禁をめぐって、安倍内閣は就任後、第2次大戦後の国際秩序に挑戦し、中国を含む周辺国の国民感情を傷つける一連の措置を実施してきた。安倍首相は最近も、頻繁な外交活動を通じて、日米安保条約以外の複合的な安全保障体系の構築によって中国の牽制を試みている。
口先の言葉の変化だけでは、安倍首相の対中政策が変わったという結論を出すことはできないし、両国関係を本当に改善し、首脳会談の実現の条件を作り出すこともできない。この意味では、安倍首相の見せた誠意ははるかに足りないと言わざるを得ない。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年10月9日