ノーベル物理学賞受賞の喜びに沸く日本。実は、今年のノーベル賞が発表された同じ日、喜びのニュースに埋もれた報告があった。7日、早稲田大は理化学研究所の「美人研究員」小保方晴子氏の博士号を取り消すと発表した。しかし1年程度の「猶予期間」を設け、論文が博士論文としてふさわしいものに訂正されれば学位を維持するとした。香港紙文匯報(ぶんわいほう)が伝えた。
作り上げられた女性科学者の模範像
小保方氏の「伝奇」の発端は、研究成果自体がメディアの脚光を浴びたからではなく、「女性」だったからだ。日本の科学者は中年以上の男性が主で、世間に堅苦しいイメージを与えていた。しかし、小保方氏の知的で美しい人間像は人々の心をつかみ、日本の科学研究分野に「リケ女」旋風を巻き起こした。「女性が輝く社会」を提唱していた日本政府も、これを絶好の機会と捉えたようだった。下村博文文部科学大臣は今年2月、「より多くの若手研究者を育て、第二第三の小保方さんを生み出すような環境作りを推進していく」と発言していた。
輝かしく表舞台に登場した小保方氏が、大勢の取り巻きに囲まれ、日本社会全体が勝手に作り上げた理想の女性科学者像を背負っていたことは容易に想像できる。しかし現実は残酷だった。捏造が発覚しスクープとなると、世論の小保方氏に対する態度は満開の桜が突風で散るように急変したのだ。集団主義が重んじられるこの国において、2005年に韓国で起きた黄禹錫(ファン・ウソク)教授の捏造事件以来の科学史最悪のスキャンダルを起こした小保方氏は、ふと気付くと、真相へと続く過酷な道に、たった一人残されてしまっていた。