資本市場の開放に向けたロードマップが徐々に明らかになってきた。中国人民銀行(中央銀行)金融政策第二司副巡視員の王丹氏は9日、「中央銀行は現在、人民元適格国内機関投資家(RQDII)制度の検討を進めているほか、適格国内個人投資家(QDII2)制度の制定を推進し、個人による海外市場への投資を認める予定だ。また、将来的には国内企業が海外で人民元建ての株式を発行することを許可する」と述べた。経済参考報が伝えた。
人民元の国際化加速を背景に、監督管理層は中国資本市場の双方向の開放をより一層推進する構想を立てているようだ。
上海と香港の株式市場相互乗り入れ制度の開始がまもなくとなった。王丹氏は発言の中で、「実体経済のニーズに基づき、人民元のクロスボーダー業務を発展させ、資本市場の開放を拡大する。中国とシンガポール、中国と英国の2国間経済対話において、RQDII制度の制定が言及された。これはすなわち、適格国内機関投資家に、人民元建ての海外投資を認めるものだ。一方のQDII2制度は、適格国内個人投資家に海外直接投資を認めるもので、これには証券投資、産業投資、不動産投資が含まれる」と語った。
国際銀行間通信協会(SWIFT)の統計によると、人民元はすでに世界第2の貿易金融通貨となり、決済通貨シェアでは第7位につけた。中国民生銀行首席研究員の温彬氏は、経済参考報のインタビューに答え、「2009年7月に人民元クロスボーダー貿易決済が正式に開始されて以来、人民元の国際貿易における使用量は徐々に増加した。同時に、国外における人民元の蓄積も増えている。これらを背景に、人民元クロスボーダー投資の推進に向けた条件が整った」と述べた。
北京金融派生商品研究院・首席マクロ研究員の趙慶明氏は、「資本勘定の開放は簡単に実現できるものではない。徐々に推進し、成熟した部分から実施するという原則にのっとる必要がある。対外投資の開放を、機関投資家のレベルから適格国内個人投資家に広げる措置も、この原則に合致しており、国内市場であれ海外市場であれ受け入れ可能と見られる」と述べた。
中央銀行は2013年初旬に「QDII2の試験導入に向けた準備作業を積極的に進める」と表明していた。QDII2制度について中央銀行が言及したのはこの時が初めてだった。温彬氏は「個人のレベルからいうと、経済の深い発展に伴い、国内の個人、特に富裕層の資産額は一定の規模に到達している。彼らには、世界各地に資産を配置したいというニーズがある。QDII2の概念はこうしたグローバル化・市場化のニーズを受けて誕生したものだ。これまでも、個人の対外投資手段を開拓する『港股直通車』制度(注:中国本土の個人投資家に対して香港株への直接投資を解禁する制度)および、温州での個人海外直接投資テスト事業などが行われたが、いずれも本格的な制度化には至らず、監督管理層の個人の資本勘定開放に対する慎重な態度が浮き彫りになった。しかし現在、個人による直接海外投資を適度に開放するリスクはコントロール可能と見られる。しかも、QDII2は全ての個人が対象ではなく、相応のハードルが設定されるだろう」と指摘する。(編集SN)
「人民網日本語版」2014年10月11日