伝統的な二大経済成長源が徐々に衰退する目下の情勢の中、中国が社会に対する政府の総合的な調整能力を引き続き改善させ、法制度の効率を高め、金融システムの効率を改善させていくことができるなら、長期的な成長の見通しは相当なものになる。「新華網」が伝えた。(文:李稲葵・清華大学中国世界経済研究センター長)
▽中国経済の新成長源はどこに?
中国経済の未来の成長源はどこにあるだろうか。中国経済には3つの未来の成長源があるとみられ、出現する可能性のある順番に並べてみる。
第一の成長源は、国民の生活に関わる、公共消費型のインフラ建設投資だ。公共消費型インフラ建設投資とは、将来の人々の消費に直接つながり、一定の公共財としての性質を有する基礎的な建設投資だ。高速鉄道、地下鉄、都市インフラ、防災能力、農村のゴミ・下水処理、大気の質の改善、社会保障対策としての住宅建設などが含まれる。このような公共消費型の投資は一般の固定資産投資とは異なる。というのも、公共消費型の投資は新たな生産能力を生み出したり、生産能力の過剰をもたらしたりはしないのだ。より重要なことは、こうした公共消費型投資は100%公共の製品を提供するわけではないということだ。たとえば高速鉄道や地下鉄は、利用した人が利益を受けるのであり、一定の排他性があり、すべての人々が同時に利益を得られるわけではない。だがこうした製品の性質は自動車や冷蔵庫、テレビとは異なる。公共消費は大勢の人々がともに行うものだからだ。たとえば高速鉄道が1回走ると、これを消費する人は数千人に上り、一人で高速鉄道を走らせるということはできない。一方、携帯電話を使用する人は一人だ。公共消費財には多額の初期投資が必要であり、社会福祉の観点から考えて、公共消費型の投資は商業的なリターンが少ない可能性はあるが、ひとたびサービス提供能力が形成されれば、徐々に社会福祉的なリターンをもたらすようになる。
こうした公共消費型のインフラ建設投資が、中国経済の現在そして未来の成長源のトップになるのはなぜか。最も根本的な原因は、こうした投資は今の中国国民が最も必要としているものだからであり、人々の未来の幸福感を最も直接的に引き上げることができるものだからである。中国の人々、特に都市に暮らす人々と先進国の人々との生活の質の差は、もはや冷蔵庫の保有台数ではなく、携帯電話の普及レベルや質、自動車の保有台数や質でもない。差は大気の質、交通渋滞の程度、公共交通の普及レベルと質、自然災害発生時の対応力などに現れる。これらは本質的には公共消費水準の範疇に属するものだ。公共消費の水準を引き上げるには、非常に長い投資周期が必要であり、商業的なリターンが少ないことが多く、政府が長期間にわたって補助金を出すことが必要になる。だがこうした投資はかなりの程度、経済成長を牽引することが可能で、現在の状況から考えて、中国の固定資産投資のうち約25%がこうした投資に回されており、この割合はまだ上昇する可能性がある。注目すべきは、こうした投資は生産能力の過剰という問題を深刻化させないだけでなく、かえってこうした難問を解決する上でプラスになるという点だ。