人民網日本語版は、中国の新聞報道を翻訳した記事を理解する上での手助けとなるため、「中国時事用語集(中日対訳)」を開設しました。「中国時事用語集(中日対訳)」には中国の新聞報道に使用される政治・経済・社会・文化・法律などの用語を幅広く収録し、定期的に更新する予定です。読者の皆様のお役に立てれば幸いです。
■「经济体」と「エコノミー」
日本語の「エコノミー」という言葉は、現在出版されている辞書で引いても「経済的」や「節約」といった意味しか出てきません。この言葉が国・地域を意味するのは、APEC関連の場合が多いようです。APECには現在21のメンバーがありますが、香港や台湾には「経済国」のような言葉が使えないために、「エコノミー」という言葉が用いられたと考えられます。一方、中国語の「经济体」という言葉は、「エコノミー」の訳語と思われますが、現在この言葉の使用範囲は極めて広く、国や地域以外に、EUのような国家連合体も「经济体」と呼ばれています。
■「极客」と「ギーク、技術オタク」
「极客」と「ギーク」はともに英語のスラング「geek」の音訳で、「技術オタク」は日本語の意訳です。「ギーク」はもともと、ヘビを食いちぎったり、昆虫を呑み込んだりするなどグロテスクな芸を見せるパフォーマーを指し、否定的な含みを持つ言葉でした。しかし近年コンピュータ技術やインターネットが社会に広く普及したことにより、今ではコンピュータやインターネットに熱狂的で、その技術や知識に精通している人を指し、肯定的な含みを持つように変わってきています。
■「硬性规定」と「杓子定規な規定」
「杓子」という言葉は現代日本語ではあまり使われなくなり、「しゃもじ」や「お玉(杓子)」のように変化していますが、それに関連する言葉がまだ生き続けています。「杓子定規」はそのひとつです。昔の杓子の柄は曲がったもので定規には使えないはずでしたが、それを無理やり定規に使うことにより「融通のきかない」という意味が生まれました。一方、中国語の「硬性」は「変更のできない」や「融通のきかない」を意味するため、「杓子定規」とほとんど同じ意味になります。
■「尖叫」と「黄色い声」
日本語では、女性や子供が出した甲高い声のことを「黄色い声」と言います。ほかには「黄色い歓声」や「黄色い声援」という言い方もあります。では、なぜ「赤い」や「青い」ではなく「黄色い」なのか、これに関してはさまざまな説が存在しています。▽「江戸時代に声を色で表現するという流行があったから」、▽「色を使って音の高さを表現するお経が存在し、その中で一番高い音を示していたのが「黄色」だったから」、▽「『甲高い声』を黄色に感じるという共感覚があったから」、さらには、「『キイキイ』と聞こえるから」という説まで上がっています。ただ、どの説が本当なのかは現段階ではまだはっきりしていません。(許永新)
「人民網日本語版」2014年11月25日