働く人にとって「残業」が最も大変なことだ。それでは今、残業が最も多い産業はどこだろうか。北京師範大学労働力市場研究センターがこのほど発表した「中国労働力市場報告2014」は、正確な数字を用いて労働者の時間がどのように使われているかという質問に答えている。「中国青年報」が伝えた。
国家統計局がまとめたデータによると、2013年の中国の一人あたり平均国内総生産(GDP)は7千ドル(1ドルは約119円)に迫り、中の上の所得国の水準に達した。だが収入が増加する時期にあって、中国の労働者の労働時間は年2千時間から2200時間ほどになり、これは英国、米国、ドイツ、フランスなどの1920~50年代の水準に相当する。
経済の急速な発展にともない、労使関係は問題が頻発する「深水」に突入した。労働時間の不合理さや違法さは、労資トラブル発生の重要な導火線になっている。また過度の残業は社会全体が注目する焦点の問題となっている。
同報告によると、高所得国へのプロセスを進む今、中国の労働者の労働時間には次の8つの特徴がみられる。
(1)労働時間の制度が世界水準に近づいてはいるが、残業が以前として深刻な状況にある。
(2)過重労働が横行し労働時間の問題がおざなりにされている。
(3)男性の長時間労働、女性の家事負担という2つの問題が併存している。
(4)都市部と農村部で労働時間の開きが大きい。
(5)特大都市の労働者は通勤時間が長い。
(6)雇用者と被雇用者では雇用者の方が労働時間が長い。
(7)中国人の休暇は世界の平均水準より遥かに少ない。
(8)過重労働による職業病や過労死などの現象が目立つ。
研究によると、中国の産業の9割は週労働時間が40時間を超え、半数以上は週の残業時間が4時間を超える。各産業の週平均労働時間のランキングをみると、最も多いのはホテル・外食産業で51.4時間になる。2位は建築産業、3位は家事サービス、4位は修理・その他サービス産業で、以上の4産業は法律で定められた「特殊産業」の週労働時間の上限49時間を上回る。交通輸送・倉庫貯蔵・郵便産業は48.8時間、製造業は48.2時間。これら6産業の週あたり平均残業時間は8時間を超えており、「労働法」が規定する1日あたり標準労働時間8時間で考えると、6産業の従事者は平均で毎週1日かそれ以下の休息しか与えられていないことになる。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年12月2日