「ダブル11」(11月11日)のショッピングイベントが終わってから半月ほどで、「手切族」(ネットショッピングに熱中しすぎて、「手を切り落として買い物できないようにするしかない」と自嘲する人のこと)はまた新たなショッピングイベントに意欲を燃やしている。アマゾンは11月30日に「ブラックフライデー」(米国で年末商戦がスタートする日)のショッピングイベントを始めてうち出し、今年のダブル11で試験的に運営した「アマゾン海外通販店舗」を正式に始動した。一方、中国の通販会社・アリババ(阿里巴巴)は決済サービス「支付宝」(アリペイ)の海外ショッピング機能を利用して、米国の4大デパートのブラックフライデーのイベント期間に、中国国内の消費者向けのショッピングルートを確立させた。「北京日報」が伝えた。
ブラックフライデーは、米国では感謝祭の翌日を指し、クリスマスを控えた年末商戦がスタートする日で、米国小売市場はこの日に一年で最大のキャンペーンや割引率をうち出すのが恒例だ。この日は小売業界の年末商戦の売上高のバロメーターとされており、店舗にとって一年中で最も大事で最も混み合う一日になる。
先月24日から、メイシーズを含む米国の4大デパートで支付宝の海外通販サービスが始まり、各店舗のショッピングページが開設された。商品には人民元価格が自動的に表示され、支付宝での支払いが可能で、商品は直接中国へ送ることができ、消費者は支付宝の海外通販ページで身分証明書の情報を送信すれば、通関手続きを済ませることができる。
アマゾンの海外通販店舗が開設されると、100を超える世界的ブランドの商品3万5千種類が70%割引で売り出され、中国の消費者は80万種類近い世界の商品を自由に買えるようになり、米国のブラックフライデーと同じ品質、同じ価格の商品を、同じペースで選べるようになった。
アマゾン中国法人のダグ・ガー総裁の説明によると、「アマゾンの海外通販とダブル11のテスト運営当日の閲覧件数は100万件を突破し、マタニティ・ベビー用品、衣料品など7つの主要商品類の伸びが予想を上回った。中国の消費者は世界の消費者と同じペースで米国のブラックフライデーの恩恵を受けることができるようになった」という。
アリババも、支付宝を通じて海外ショッピングでキャッシュバックを行うという形でブラックフライデー商戦に参戦した。支付宝は同じ週に、11月24日から12月1日まで、海外通販で総額6千万元(1元は約19.3円)のキャッシュバックを行い、中国の消費者は天猫国際、淘宝(タオバオ)全球購、一淘海淘などのアリババ系海外通販プラットフォームでサービスを受けることができると発表した。
とはいえ、海外通販の不便さも明らかになっている。海外通販を利用した王さんは、「レゴブロックが気に入ったけれど、買えなかった」と嘆く。気に入った商品は、中国市場が販売対象エリアに入っていなかったのだという。また物流効率にも不安が感じられる。返品無料ではあるが、国際宅配便の効率が低いことから、何か問題が生じた場合や国際返品を申し込んだ場合、すべてのプロセスが終わるまで2カ月近くも時間がかかる場合もある。
業界を見渡すと、アリババとアマゾンのこのたびの海外通販戦争は、自社運営型プラットフォームとオープン型プラットフォームという2つの経営モデルの戦いでもあるといえる。自社運営型の強みは、品質、物流、アフターサービスにあり、オープン型の強みは、自社運営型が取り扱わない商品を入手できるところにある。現在、関税や送料などを前にして海外通販に尻込みする消費者は多く、ガー総裁は、「アマゾン中国は中国政府と関税についての話し合いを継続的に進めており、中国で『プライム会員』サービス(一定の料金を支払えば送料が一年間無料になるサービス)をうち出すことを考えている」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年12月1日